子どもが成長する中で親として叱らなくてはいけない場面がたくさんあります。
しかし、「どのように叱るべきか」「子どもの心を傷つけずに伝えたいけれど、うまくいかない」と悩んでいる親御さんも多いのではないでしょうか？
叱ることは、実はとても難しく、適切に行うことで子どもの成長を支える大切な役割を果たします。
今回は、子どもの心を傷つけずに効果的に伝えるための叱り方について、具体例やポイントとともに解説します。
目次
1. 叱ることの難しさと意義
叱ることは親にとっても、そして子どもにとっても負担がかかりますね。
しかし、叱ることはただ「注意を促す」だけではなく、子どもに正しい行動を学んでもらい、成長をサポートする大切なプロセスでもあります。
ポイントは、「行動の改善」を目的にし、親が感情的に怒るのではなく、冷静に伝えることです。
叱る際には、子どもの心を傷つけることなく、しっかりと伝えるための言葉の選び方や、伝え方が重要です。
次に、具体的にどういった点に注意すべきかを見ていきましょう。
2. 子どもの心を傷つけないために意識すべきポイント
子どもに注意をするとき、つい「ダメ！」と一言で終わらせたり、感情的に怒鳴ったりしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、それでは子どもは「なぜ叱られたのか」が理解できず、ただ不安になったり、傷ついたりするだけで終わってしまう可能性があります。
ここでは、子どもの心を傷つけないための3つのポイントをご紹介します。
①批判ではなく行動を指摘する
「叱る」とは、子どもの「行動」を正すためのものであり、子どもの「人格」を否定することではありません。
行動に焦点を当てることで、子どもは自己否定に陥ることなく、「どうすればいいか」に意識を向けられるようになります。
たとえば、「なんでそんなことするの？」ではなく、「〇〇をすると〇〇さんが困るから、やめようね」といったように、行動の影響を具体的に伝えましょう。
②タイミングを考える
叱るタイミングはとても大切です。
感情が高ぶっているときにすぐ叱ると、どうしても感情的になりがちです。
子どもが理解できない場合もあるため、冷静になってから話すときに注意を伝えることも時には必要です。
③親の感情ではなく、事実を伝える
叱るときは、親の感情に流されず「事実」を伝えるよう心がけましょう。
「○○しないで」と言うよりも「○○するとどういう結果になるか」を客観的に伝えます。
例えば、「それはよくないからやめて」ではなく、「この行動をすると周りの人が困ってしまうよ」といった言い方をすると、子どもが状況を理解しやすくなり、納得も得やすくなります。また、「どうして親が怒っているのか」が分かることで、自分の行動の改善に繋がりやすくなるでしょう。
3. 具体例で学ぶ「心に響く叱り方」
「〇〇したらだめ！！」「何してるにの！！」だけでは子どもにはうまくつたりません。
子どもにとってわかりやすく、納得しやすいような叱り方の例を挙げてみましょう。
例1：おもちゃを片付けないとき
言葉の選び方
「片付けないと他のおもちゃが使えないよ。みんなが使えるようにしてみようね」
子どもは「片付ける理由」を理解すると、自分から片付ける意欲を持ちやすくなります。「片付けなさい！！」と命令するだけではなく、「片付けた後にどうなるか」を示すと、行動につながりやすくなります。
例2：他の子を叩いたとき
言葉の選び方
「叩かれたら痛いよね。相手も悲しい気持ちになってしまうよ」
子どもは自分の行動が他人にどう影響を与えるかを理解しにくいため、丁寧に説明してあげることが必要です。相手の気持ちを考えさせることで、共感力を育むきっかけにもなります。
例3：公園で大声を出して走り回るとき
言葉の選び方
「ここはみんなが使う場所だから、大声で叫ぶと他の人がびっくりしてしまうかもしれないよ」
このように、行動の影響を冷静に伝えることで、子どもが周囲の環境を意識するきっかけにもなります。
また、「小さい声で話そうか」と具体的な対策も一緒に示すと良いでしょう。
4. やってはいけない叱り方
効果的な叱り方を考えると同時に、「避けるべき叱り方」も知っておくことが大切です。
子どもが恐怖や混乱を感じ、親子関係が悪化する可能性のある叱り方を避けましょう。
感情的に叱る（怒る）
親が感情的になると、子どもは「怒られている理由」ではなく、「怒られたこと」にばかり意識が向きます。
親が冷静であればあるほど、子どもは安心して話を聞けます。
抽象的な否定だけをする
「ダメ！」や「なんでわからないの？」などといった否定だけでは、子どもが理由を理解しづらく、次にどうすればよいのかもわかりません。
具体的に何が問題かを伝えることが重要です。
他の子と比較する
「〇〇ちゃんはできてるのに！」と他の子と比較することで、子どもは自己肯定感が下がり、自信を失いやすくなります。
他の子と比べず、その子の成長や進歩を認める言葉をかけましょう。
5. ポジティブな言葉を使った「励まし叱り」
子どもが失敗や問題を起こしたとき、そのまま叱るのではなく、「ポジティブな励まし」としてアプローチすることも有効です。
以下に、具体的な例を挙げてみます。
「どうすればいい？」と考えさせる
例えば、散らかした部屋を見て「どうすればお部屋が綺麗になるかな？」と聞くことで、子どもに考えさせる余地を与え、主体的に行動するきっかけを与えます。
行動を変えたときは必ず褒める
子どもが改善したり、良い行動をとった際には、「ありがとう！助かったよ」など、褒めることで、自己肯定感が高まります。
子どもが「できた！」と感じられるような言葉をかけると、より積極的に良い行動を続けようとするでしょう。
6. まとめ〜親も自分を責めないで〜
正しい叱り方を常に実践するのは、保育士でも出来ないことも多いです。。
時には感情的になってしまうこともあるでしょうし、うまくいかないと感じることもあるかもしれません。
親御さんもまた人間であり、失敗から学ぶ存在です。
大切なのは、「次はもっと良い方法で伝えてみよう」と試行錯誤し、少しずつ改善をしていくことです。
叱り方は一つの成長のプロセスであり、子どもとの関係をより良いものにするためのコミュニケーションの一環です。
「叱り方がわからない」と感じる時には、今回ご紹介した方法を少しずつ取り入れてみてください。
親も子も、お互いが成長していけるような、優しいコミュニケーションが生まれることを願っています。
