元保育士が語る、不登校のお子さんへの関わり方~保護者の方に知ってほしいこと~

「うちの子、最近学校に行きたがらない…」

もしかしたら、あなたのお子さんも不登校の状態かもしれません。

不登校は、決して珍しいことではありません。
誰にでも起こりうることです。
そして、決して恥ずべきことでもありません。

大切なのは、お子さんの気持ちに寄り添い、焦らず、温かく見守ることです。

私自身も、保育士として多くの子どもたちと関わってきました。その経験から、不登校のお子さんへの関わり方について、保護者の皆様に知ってほしいことをお伝えします。

不登校という状況への理解

まず、不登校について正しく理解することが大切です。

不登校の原因は一つではありません。

①学校でのいじめや友人関係の悩み
仲間はずれにされた、仲間とけんかした、など

②学習の遅れやプレッシャー
勉強についていけない、テストで悪い点を取った、など

③家庭環境の変化
引っ越し、家族の病気、両親の不仲、など

④お子さん自身の性格や発達特性
内向的な性格、HSC（Highly Sensitive Child）、発達障害、など
様々な要因が複雑に絡み合っていることが多いのです。

HSCの主な特徴

【五感が敏感】

音、光、匂い、味、触感などに人一倍敏感に反応します。

【感情豊か】

喜怒哀楽の感情が豊かで、共感力が高いです。

【内向的】

刺激を避けたがり、一人の時間を好む傾向があります。

【完璧主義】

細部にこだわり、完璧を求めようとします。

【疲れやすい】

人混みや騒音など、刺激の多い場所にいると疲れ
やすいです。

HSCの子育てのポイント

①HSCの特性を理解する

HSCは障害ではなく、個性であることを理解しましょう。

②安心できる環境を作る
刺激の少ない静かな場所で、安心して過ごせるように
配慮しましょう。

③気持ちに寄り添う

HSCの感情に共感し、受け止める姿勢が大切です。

④無理強いしない

HSCのペースに合わせて、ゆっくりと成長を
見守りましょう。

⑤肯定的な言葉をかける

HSCの長所を認め、褒めて伸ばしましょう。

⑤「学校に行かなければならない」というプレッシャー

周りの友達は学校に行っているのに、自分だけ行けない、という焦り

⑥周りの友達との差を感じる焦り

勉強が遅れてしまう、友達と遊ぶ機会が減ってしまう、など

⑦自分を責めてしまう気持ち

「自分が悪い子だから学校に行けないんだ」と思ってしまう、など

など、様々な感情が渦巻いていることでしょう。

だからこそ、保護者の皆様は、お子さんの気持ちに寄り添い、理解しようと努めることが大切なのです。

家庭でできるサポート

では、具体的にどのようなサポートができるのでしょうか？

1. 安心できる居場所を作る

まずは、お子さんが安心して過ごせる居場所を作ってあげましょう。

学校に行けない間は、家が唯一の居場所となります。

①お子さんの好きなことや得意なことをたくさん褒めて、自信を取り戻せるようにサポートする

・絵を描く、音楽を聴く、ゲームをする、など、お子さんが好きなことをさせてあげる

・得意なことを見つけて、褒めてあげる

②趣味やゲームなど、お子さんが楽しめる時間を作る

・お子さんが好きなゲームや漫画、アニメなどを一緒に楽しむ

・新しい趣味を見つけるのも良い

③家族団らんの時間を持ち、温かい雰囲気を作る

・一緒にご飯を食べたり、テレビを見たり、会話を楽しんだりする

など、お子さんがリラックスできる空間を提供してあげてください。

2. コミュニケーションを大切にする

お子さんとのコミュニケーションを大切にしましょう。

①お子さんの気持ちに寄り添い、言葉に耳を傾ける

・「つらいね」「大変だったね」など、共感する言葉をかける

・お子さんの気持ちを否定せずに、受け止める

②頭ごなしに否定せず、受け止める姿勢を見せる

・「なんで学校に行かないの！」と叱るのではなく、「何かあったのかな？」と優しく声をかける

③無理に話させようとせず、話したい時に話せる雰囲気を作る

・話したくない時は、無理に聞き出そうとしない

・話したい時にいつでも話せるように、普段からコミュニケーションを大切にする

お子さんの気持ちを理解しようと努めることが大切です。

3. 生活習慣を整える

生活習慣を整えることも重要です。

①睡眠、食事、運動など、基本的な生活習慣を整える

・毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる

・バランスの取れた食事を3食きちんと食べる

・適度な運動をする

②心身のバランスを整えることが、安定した気持ちにつながる

・生活習慣が乱れると、心身のバランスが崩れやすくなる

・規則正しい生活を送ることで、気持ちも安定しやすくなる

不登校になると、生活リズムが乱れがちです。

お子さんが健康的な生活を送れるように、サポートしてあげてください。

4. 学習のサポート

学習の遅れに対する不安に寄り添い、焦らず、ゆっくりとサポートすることも大切です。

①オンライン教材や家庭教師（フリースクール）など、お子さんに合った学習方法を検討する

・学校の勉強にこだわらず、お子さんに合った教材や方法を見つける

・タブレット学習やプログラミングなど、お子さんが興味を持つものを取り入れるのも良い

②学習の進捗を褒め、自信を持たせる

・少しでも学習が進んだら、褒めてあげる

・「頑張ってるね」「すごいね」など、具体的な言葉で褒める

学習の遅れは、復学への不安につながる可能性があります。

お子さんのペースに合わせて、無理なく学習を進められるようにサポートしましょう。

5. 休息も大切にする

心身が疲れている時は、無理に何かをさせようとしないでください。

ゆっくり休ませ、エネルギーを充電する時間も必要

・睡眠時間を確保する

・好きな音楽を聴いたり、映画を見たりしてリラックスする

・何もせず、ただゆっくり過ごす時間も大切

不登校のお子さんは、心身ともに疲れていることが多いです。

休息も大切なサポートの一つであることを理解しておきましょう。

学校との連携

学校との連携も大切です。

①学校の先生と密に連携し、情報交換や協力体制を築く

・お子さんの状況や気持ちを学校の先生に伝える

・学校の先生と協力して、お子さんのサポート体制を作る

②お子さんの状況や気持ちを伝え、学校側の理解と協力を求める

・学校の先生に、お子さんの気持ちや不安を理解してもらう

・学校側にも、お子さんに合わせた配慮やサポートを求める

③学校行事への参加など、可能な範囲で学校とのつながりを維持する

・運動会や文化祭など、お子さんが参加しやすい行事に参加する

・クラスの友達と交流する機会を作る

学校は、お子さんにとって大切な社会とのつながりです。

学校との連携を密にすることで、復学への道筋が見えてくることもあります。

専門機関との連携

専門機関のサポートも検討しましょう。

①スクールカウンセラー、児童相談所、医療機関など、専門機関のサポートも検討する

・専門家（医師やカウンセラー）に相談する

・お子さんに合ったアドバイスやサポートを受ける

②専門家のアドバイスを受けながら、お子さんに合った支援方法を探る

・専門家の意見を参考に、家庭での関わり方や学習方法などを検討する

③保護者向けの相談会やセミナーに参加し、情報収集や仲間作りをする

・同じ悩みを持つ保護者と交流する

・不登校に関する情報を収集する

専門機関は、不登校に関する専門的な知識や経験を持っています。

必要に応じて、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

保護者自身のケア

保護者自身も悩みや不安を抱え込まず、誰かに相談することが大切です。

①家族や友人、専門家など、頼れる人に頼る

・一人で悩まず、誰かに話を聞いてもらう

・信頼できる人に相談する

②休息や趣味の時間を持ち、心身のリフレッシュを心がける

・自分の好きなことをする時間を作る

・睡眠をしっかりとる

不登校のお子さんを支えるためには、保護者自身も心身ともに健康であることが大切です。

③経済的に余裕がない
共働きしていたけど、不登校になり仕事を休み収入が足りない。
仕事も大切ですが出来るだけ寄り添い過ごせる事をお勧めします。

・在宅ワークにチャレンジしてみる

・パートなど時間を調整できるように上司に相談してみる。

復学に向けて

復学はゴールではなく、新たなスタートラインです。

①焦らず、お子さんのペースに合わせて、少しずつ準備を進める

・復学を焦らず、お子さんの気持ちに寄り添う

・お子さんが「学校に行きたい」と思えるようになるまで、待つ

②復学後も、お子さんの様子を しっかり見守り、サポートを続ける

・復学後も、お子さんの気持ちに変化がないか、注意深く見守る

・何かあったら、すぐに相談に乗ってあげる

復学は、お子さんにとって大きな挑戦です。

復学後も、お子さんの気持ちに寄り添い、サポートを続けていきましょう。

まとめ ~不登校は成長の機会~

不登校は辛い経験ですが、お子さんにとって成長の機会でもあります。

この経験を通して、お子さんは自分自身と向き合い、新たな道を見つけることができるでしょう。