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褒める子育てだけで大丈夫?

「自己肯定感を育てたい」と思って、褒める子育てを意識している方は多いと思います。
ですが、こんなお悩みはありませんか?
- 褒めてばかりいたら、子どもがわがままになってきた
- 叱ると自己肯定感が下がるのではと不安
- どんな時に叱ればよいのかわからない
特に2歳〜10歳は、イヤイヤ期や反抗期、友達とのトラブルなどが増えてきますよね。
👉 実は、自己肯定感を育むことと叱ることは矛盾しません。
むしろバランス良く「叱る」ことが、子どもの健やかな成長には「適切な叱り方」が欠かせないのです。
なぜ「叱る」ことが必要なのか
自己肯定感とは「ありのままの自分を認められる力」。
しかし子どもは、社会の中で他者と関わりながら生きていきます。
もし「自分の思い通りにしていい」と思って育つと、現実社会で大きな壁にぶつかります。
そのときに「受け入れられない」「自分はダメだ」と感じてしまえば、逆に自己肯定感は低くなってしまうのです。
叱ることは、子どもにこんな大切なことを伝えます。
- 危険から守る(命を守るため)
- 他者との境界線を学ぶ
- 社会のルールを知り、人と気持ちよく関われるようになる
こうした経験を通じて、子どもは「社会の中でも自分は大切にされている」と感じ、結果的に強い自己肯定感を築いていきます。
叱るべきタイミングを見極める3つのポイント
1. 危険な行為・他者を傷つける行為
『道路に飛び出す、熱い物を触ろうとする、友達を叩く…など』
この場合は即座に止め、短く毅然と「ダメ!」と伝えます。
この時、理由を説明する時間は不要です。
まずは子どもの安全を確保することが最優先。
大人が真剣な表情で、短い言葉で止めることで、子どもは「これは本当にいけないことなんだ」と直感的に理解します。
※安全を確保後に、叱った理由を伝えましょう。
2. 社会のルールやマナーを破る行為
『お店で走る、順番を守らない、公共の場で大声を出す…など』
「なぜダメなのか」を簡潔に説明しましょう。
感情的に怒鳴るのではなく、落ち着いて子どもに理由を伝えます。
例:「走ると人にぶつかって危ないから静かに歩こうね」 子どもが幼い場合は、「車が来ているから、ママと手をつなごうね」など、次に取るべき行動を知らせるのも効果的です。
3. わがままの裏に隠れた気持ち
『お菓子をねだる、泣き叫ぶ、友達のおもちゃを取ろうとする…など』
叱る前に気持ちを受け止めましょう。
これらの行動は、子どもの「こうしたい」という気持ちがうまく表現できないために起こることが多いです。
例:「欲しかったんだね。でも今日は買えないよ」 「〇〇くんもこのおもちゃで遊びたかったんだね。
でも、お友達が使っているから、終わるまで待とうか」 このように、子どもの気持ちを言葉にしてあげることで、子どもは「自分の気持ちをわかってくれた」と感じ、落ち着きを取り戻しやすくなります。
この段階で感情的に叱ってしまうと、「どうせわかってもらえない」と心を閉ざしてしまうことにもつながりかねません。
自己肯定感を下げない叱り方のコツ

① 行動を叱り、人格は否定しない
❌「どうして乱暴ばっかりするの?そんな悪い子は嫌い!!」
⭕「〇〇くん叩いてしまったね。叩かれるととても痛いし、悲しい気持ちになるんだよ。叩くのはやめようね」
人格を叱ると子どもは、自分の存在そのものを否定されたように感じてしまいます。
「ダメな子」「悪い子」「〇〇出来ない子」といったレッテルを貼るのではなく、子どもの起こした具体的な行動に対して「それはなぜいけないのか」を冷静に伝えることが大切です
② 理由を具体的に伝える
❌「ダメだからダメ!」
⭕「叩かれると相手が痛くて悲しいよ」
なぜいけないのかを具体的に、子どもが理解できる言葉で説明しましょう。
理由が分かれば、子どもは自分で考えて行動するようになります。
特に、相手の気持ちを想像させる言葉がけは、共感力を育む上で非常に重要です。
③ 考えさせる問いかけをする
10歳くらいまでの子どもは、論理的に物事を考えるのがまだ苦手です。
でも、少しずつ「どうすればよかったか?」を自分で考える力を育ててあげることが大切です。
- 「どうしてやったの?」ではなく ➡「お友達が悲しい顔をしているね。どうしてほしいかな?」
(なぜやったのかを問うと、嘘をついたり、言い訳したりしがちです。それよりも、どうすれば解決できるかを一緒に考えさせましょう。) - 選択肢を与える ➡「お菓子かジュース、どちらか一つなら選んでいいよ」
(「買って!」と駄々をこねる子どもに、全てを否定するのではなく、小さな選択権を与えることで、子どもの自立心を育てます。) - 行動を促す ➡「お片付けをしないと、〇〇くんが転んでしまうかもしれないね。どうしたらいいかな?」
(「片付けなさい!」と命令するのではなく、理由を添えて問いかけることで、子どもは自ら行動するようになります。)
④ 声のトーン・表情・目線を意識する
子どもは言葉だけでなく、大人の表情や声のトーンから感情を読み取ります。
- 真剣な表情:危険な行為を叱るときは、ふざけていないことを伝えるため、真剣な表情で叱ります。
- 落ち着いた声:理由を説明するときは、感情的にならず、落ち着いた声で話します。
- 目線を合わせる:子どもの目を見て、目線を合わせて話すことで、気持ちが伝わりやすくなります。
⑤ 叱った後には必ず愛情フォロー

1. 自尊心を守るため
子どもは叱られると、「自分はダメな子なんだ」と深く傷つくことがあります。
叱られた行動そのものと、自分の存在価値を同一視してしまうからです。
フォローをすることで、「悪いのは行動であって、あなた自身ではない」というメッセージを明確に伝えることができ、子どもの自尊心を守ることができます。
2. 信頼関係を維持するため
叱ることは、親からすると愛情表現の一環ですが、子どもにとっては恐怖や不信感につながることがあります。
叱った後に愛情を伝えることで、親子の信頼関係を修復し、子どもが安心して親に甘えたり、相談したりできる関係を築き直すことができます。
3. 行動の改善を促すため
ただ叱るだけでは、子どもは「怖いからやらない」という消極的な行動しか学べません。
しかし、フォローで「なぜその行動がダメだったのか」を改めて伝え、次にどうすればいいかを一緒に考えることで、子どもは自ら考え、より良い行動を選び取る力を身につけることができます。
叱った後のフォローは、子どもの心に寄り添い、「あなたは愛されている」「失敗しても大丈夫」「次からはこうすればいい」という安心感を与えるための大切なステップです。
これにより、子どもは失敗を恐れずに挑戦し、健やかに成長していくことができるのです。
まとめ
今日お話ししたように、『自己肯定感を育てる=叱らない』ではありません。
必要なときには毅然と叱り、同時に子どもの気持ちを受け止めることが大切です。
叱ることは、子どもを傷つけるためではなく、成長を支えるための愛情表現の一つです。
今日からは「褒める」と「叱る」の両方をバランスよく取り入れながら、安心して子どもと向き合っていきましょう。
最後に、今日からすぐに実践できるポイントを3つお伝えします。
- 1つ目は、叱るときは「行動だけ」を指摘することです。
子どもの人格を否定するのではなく、「叩いたこと」「順番を守らなかったこと」など、具体的な行動に焦点を当てましょう。 - 2つ目は、理由を短く、子どもが理解できる言葉で伝えることです。
「ダメだからダメ!」ではなく、「走ると危ないからね」といったように、シンプルに伝えることで子どもも納得しやすくなります。 - 3つ目は、叱ったあとに必ず愛情のフォローを入れることです。
「ママはあなたのことが大好きだよ」「次は一緒にこうしてみようね」とひとこと添えるだけで、子どもは安心し、次の行動へ前向きになれます。
この3つを意識するだけでも、子どもの自己肯定感を守りながら、わがままを防ぎ、健やかな成長をサポートすることができます。
ぜひ今日から取り入れてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。皆さんの子育てが、さらに心豊かで実りあるものになりますように。