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幼児期、特に2〜3歳は――人生で最も多くの「ことば」「感覚」「想像力」「社会性」が育ち始める、大切な「黄金期」です。
この時期に親子で絵本を読む時間は、ただ楽しいだけの「読み聞かせ」ではなく、子どもの未来を育む“種まき”のような時間だと、私は感じています。
ページをめくると現れる色鮮やかなイラスト、繰り返し語られるリズムある言葉、そして親と子のあたたかな声のやりとり。
絵本は、子どもの「ことば」「好奇心」「感受性」「思いやり」「想像の豊かさ」を育てる絶好のツールです。
この記事では、元保育士&子育てアドバイザーである筆者が、長く読み継がれてきた定番の名作から、今の子どもたちにも人気の作品まで――
「確実にハズさない名作」と「今の子どもたちに刺さる人気作」をバランスよくミックスした、2〜3歳児におすすめの絵本ランキングをご紹介します。
年齢や興味に応じて、親子で “わくわく時間” をゆったり楽しんでみてください🌈
2歳児にとって絵本が大切な4つの理由
まずは、「なぜ2歳ごろに絵本が大切なのか?」というお話から。
元保育士としてたくさんの子どもたちと過ごしてきた経験、そして現在、子育てアドバイザーとして親御さんの相談を受ける中で実感している4つのポイントをご紹介します。
1. 言葉や語彙力の基礎がぐんぐん育つ
2歳ごろは、「ことばの爆発期」とも言われるほど、語彙が一気に増えていく時期です。
絵本には、日常会話だけではなかなか出会わない言葉や表現が、たくさん詰まっています。
- 色や形のことば(あかい、まるい、ながい など)
- 感覚を表すことば(ふわふわ、つるつる、じめじめ など)
- 動きのことば(ぴょーん、どしん、すべる など)
- 気持ちを表すことば(うれしい、かなしい、こわい など)
読み聞かせをする中で、「これなあに?」「どっちの色が好き?」などと声をかけていくと、子どもは絵とことばを結びつけて覚えていきます。
自然に語彙が増え、言葉のリズムや文章の流れにも慣れていきます。
2. 想像力・好奇心・創造性が育つ
絵本は、子どもにとっての「はじめての物語の世界」
現実には出会えないような動物や乗り物、不思議な出来事、魔法のような展開など、ページをめくるたびに新しい世界が広がります。
2歳ごろからは、
- 「もし自分だったらどうするかな?」と登場人物の気持ちを想像する
- 「次はどうなるのかな?」とストーリーの続きを考える
- 「これ私と同じ!」「○○くんもやってたね」と自分の経験と重ねる
といった、想像力・創造性の芽がぐんと育ち始めます。
絵本は、そのきっかけを与えてくれる、とても身近で、そして強力なツールです。
3. 感情や共感力、心の安定・社会性が育つ
絵本の中には、うれしい気持ち、悲しい気持ち、ドキドキする気持ち、怒った気持ち、困った気持ち……たくさんの感情が登場します。
物語の中で登場人物の気持ちに触れることで、子どもは「気持ちにはいろいろな種類があるんだ」と少しずつ理解していきます。
また、親子で一緒に絵本を読む時間は、子どもにとって安心・安全のベースになる時間です。
- 膝の上でぎゅっと抱っこされながら読む
- 寝る前に毎日同じ絵本を読む
- 「このページ好きだね」と気持ちを共有する
こうした経験の積み重ねが、子どもの心を安定させ、「人は優しい」「大人は自分を守ってくれる」という感覚につながります。
これは、のちの社会性や自己肯定感の土台にもなっていきます。
4. 集中力・記憶力・認知力が育つ
最初は数ページで飽きてしまっても大丈夫。
短い時間でも、絵本の世界に入り込んで「聞く」「見る」「想像する」経験を重ねることで、少しずつ集中できる時間が伸びていきます。
同じ絵本を何度も何度も読みたがるのも、2〜3歳ならではの姿。
大人からすると「またこれ?」と思ってしまうかもしれませんが、子どもにとっては、
- ストーリーを丸ごと覚えて、先の展開を予測して楽しむ
- お気に入りのフレーズを自分で言ってみる
- 違いに気づいたり、新しい発見をしたりする
といった、とても大事な学びの時間になっています。
つまり、絵本は集中力・記憶力・認知力を、遊びの中で育ててくれるのです。
【元保育士が厳選】2〜3歳におすすめの絵本ランキングTOP10
ここからは、元保育士であり現在は子育てアドバイザーでもある筆者が、
「2〜3歳児に本当におすすめしたい!」と思う絵本を、最新の人気も意識しつつ、定番とミックスしてご紹介します。
どの絵本も、「保育現場で子どもたちの反応がよかった」「おうちで親御さんに勧めて喜ばれた」という実感のあるものばかりです。
第1位:だるまさんが
ポイント:リズムと言葉の楽しさを、これ一冊で!
だるまさんが、びよーん、どてっ、にこっ……と、全身で感情を表現してくれる大人気シリーズ。
短いフレーズの繰り返しとテンポのよさで、2歳児でも最後まで集中して楽しめます。
- まだ長い文章は難しい子にも読みやすい
- ページをめくるたびに大人も一緒に体を動かして遊べる
- シリーズで「だるまさんの」「だるまさんと」もあり、ステップアップしやすい
「絵本あまり好きじゃないかも…?」という子にも試してほしい、“読み聞かせデビューの鉄板”です。
第2位:
ポイント:身近な「食べる」がテーマの、あたたかい一冊
しろくまちゃんが、お母さんと一緒にホットケーキを作るお話。
「ぽたん ぽたん」「ふく ふく」「ぷつ ぷつ」など、音・リズム・変化がたくさん出てくるので、読み聞かせている大人も楽しくなります。
- 食べることに興味が出てきた頃にぴったり
- 作る→焼ける→食べる、の流れがわかりやすく、生活の理解にもつながる
- 寝る前の“おだやかな一冊”としても人気
「ごはんイヤイヤ期」にも、ちょっとしたきっかけになることがありますよ。
第3位:はらぺこあおむし
ポイント:色彩・リズム・変化がぎゅっとつまった世界的名作
あおむしがいろいろな食べ物を食べて、さなぎになり、美しいちょうちょになる――。
その成長の過程が、カラフルな色彩としかけページで表現された、ロングセラー絵本です。
- 色・食べ物・曜日など、自然とことばが増える内容
- ページに空いた穴に指を入れて楽しめるしかけがうれしい
- 最後の「ちょうちょ」のページが、子どもにも大人にも感動的
知育的要素も多く、「長く読みたい一冊」を探しているご家庭におすすめです。
第4位:きんぎょがにげた
ポイント:さがしあそびで、観察力&集中力アップ
どこかへ逃げたきんぎょを、ページの中から探す絵本。
「どこにいるかな?」「あ、ここだ!」というやりとりが楽しく、親子で盛り上がれる一冊です。
- さがしあそび要素が強く、遊び感覚で読める
- 部屋・おもちゃ・家具など生活の場面が多く、日常理解にも良い
- 見つけられたときの喜びが、自己肯定感にもつながる
「じっと座って聞くのが苦手」というお子さんにもおすすめです。
第5位:おべんとうバス
ポイント:乗り物好き・食べ物好きに刺さる、ワクワクストーリー
おべんとうバスに、ハンバーグくん、エビフライちゃん、おにぎりさん…と、おかずたちが乗り込んでいく、楽しくておいしそうなお話。
- 乗り物 × 食べ物という、子どもの大好きが詰まったテーマ
- 「はーい!」と返事するシーンで、一緒に声を出して参加できる
- 言葉のリズムがよく、繰り返し読んでも飽きにくい
お弁当の日やピクニックの前に読むと、楽しさがさらに倍増します。
第6位:ぐりとぐら
ポイント:物語絵本への第一歩にぴったりなロングセラー
野ねずみの「ぐり」と「ぐら」が、大きな大きなカステラを作るおはなし。
やさしいストーリーとあたたかいイラストで、世代を超えて愛されている名作です。
- 文章は少し長めだが、2〜3歳でも十分楽しめる内容
- 「大きなカステラ」の場面に、子どもたちは目を輝かせる
- 分け合う・みんなで食べる、という経験を物語として味わえる
「そろそろ少し長めの物語にも挑戦したい」というタイミングにぴったりです。
第7位:ノンタンぶらんこのせて(ノンタンシリーズ)
ポイント:元気いっぱいのキャラクターで“友だち関係”も学べる
いたずらっ子のノンタンとお友だちが登場する人気シリーズ。
「ぶらんこのせて」では、順番こ・友だちとの関わりなど、2〜3歳で気になってくるテーマが描かれています。
- 明るく元気な世界観で、子どもが感情移入しやすい
- 友だちとの関わり、ちょっとしたケンカや仲直りも出てくる
- シリーズが豊富で、興味に合わせて選びやすい
保育園や公園でのお友だちトラブルが増えてくる時期にも、そっと寄り添ってくれるシリーズです。
第8位:てぶくろ
ポイント:昔話の世界に触れられる一冊
雪の森で、おじいさんが落としたてぶくろ。そこに、次々と動物たちが入ってきて……というお話。
繰り返しの展開と、少し不思議で温かい雰囲気が魅力の昔話絵本です。
- 昔話・民話に親しむきっかけになる
- 繰り返しの構成で、物語の流れをつかみやすい
- 冬の季節の読み聞かせにもぴったりな雰囲気
「むかしむかし…」の世界に、そろそろ触れてほしいな、というときに選びたい一冊です。
第9位:じゃあじゃあびりびり
ポイント:音と言葉のリズム遊びに最高</ strong>
「じゃあじゃあ」「びりびり」「わんわん」など、オノマトペがたくさん並ぶ、シンプルで力強い絵本。
0歳から楽しめますが、2〜3歳になると、今度は子ども自身が声に出して楽しめるようになります。
- 短く、テンポのよいフレーズが続くので、読みやすい
- 音・リズム・抑揚をつけて読むと、子どもが大喜び
- ことばの響き・音への感受性を育てるのにぴったり
言葉が増えてきた子にとっては、「一緒に読む楽しさ」を味わえる一冊です。
第10位:“しかけ絵本”や“色・形あそび絵本”
ポイント:定番に1冊、新しい刺激をプラス
最後の10位には、少し新しめのしかけ絵本や、色・形・めくる楽しさを味わえる絵本を入れるのがおすすめです。
- 穴あき・めくり・触って楽しむタイプ
- 色や形、数などに自然と触れられる絵本
- 動かせるしかけで、手先の発達を促すタイプ
定番絵本で「安心感」を、新しいしかけ絵本で「ワクワク感」を――。
両方をバランスよく取り入れると、子どもにとっての「絵本の世界」はぐんと広がります。
元保育士・子育てアドバイザーからのメッセージ
私は保育士としてたくさんの子どもたちと過ごし、現在は子育てアドバイザーとして親御さんの相談に乗る中で、いつもこう思っています。
絵本は、親子の心をつなぐ“魔法のツール”です。
目を輝かせながらページをめくる姿。
お気に入りの場面でケラケラ笑う姿。
物語の登場人物に自分を重ねて、ちょっとしんみりしている姿。
ひとつひとつの反応が、子どもの中に少しずつ蓄えられて、
「言葉」「感性」「自己肯定感」「人への信頼」といった土台になっていきます。
だからこそ、2〜3歳のこの時期に、親子で絵本に触れる時間を、ほんの少しでも確保してあげてほしいと願っています。
完璧な読み聞かせや、教育的なことを意識しすぎる必要はありません。
「今日はこの1冊だけにしよう」
「途中で終わっても、また明日続きから読めばいい」
そんなゆるい気持ちで大丈夫。
大切なのは、“絵本の時間は、親子にとって心地よい時間だ”と子どもが感じることです。
2〜3歳に絵本を選ぶときのコツ
最後に、絵本選びでよく相談されるポイントをまとめておきます。
本屋さんや図書館で選ぶときの参考にしてみてください。
1. ページ数と言葉の量は「ちょっと物足りない」くらいが◎
2〜3歳のうちは、長さよりも「最後まで楽しく読み切れるか」が大事です。
途中で飽きてしまうくらいなら、「もう終わっちゃった!」「もっと読みたい」と思えるくらいの長さの方が、次への意欲につながります。
2. 子どもの「今のブーム」に合わせる
乗り物ブーム、動物ブーム、食べ物ブーム、おままごとブーム……。
2〜3歳には、その子その子の「今これが大好き!」というブームがあります。
そのブームに合わせて絵本を選ぶと、
「読んでみたい!」という気持ちが自然と湧きやすくなります。
3. 大人の「好き」も大切にしてOK
意外と大事なのが、読む大人のテンションです。
大人が「この絵本、好きだな」「この絵かわいいな」と思える本のほうが、声のトーンや表情に自然と気持ちがこもります。
絵本は、親子で一緒に楽しむもの。
ぜひ、ママ・パパ自身の「お気に入りの一冊」も見つけてみてくださいね。
4. 「毎日同じ絵本」も立派な成長
「またこの絵本!?」「もう何回読んだか分からない…」
2〜3歳あるあるですが、これは決して悪いことではありません。
むしろ、
- ストーリーを理解して、先の展開を楽しんでいる
- お気に入りのフレーズを覚えて、自分でも言いたい
- 同じ絵本を読むことで安心している
など、子どもにとってはとても大事な経験です。
「またこれか〜」と思いながらも、どうか付き合ってあげてください。
まとめ:絵本は“未来へのやさしい投資”
2〜3歳という時期は、言葉・感情・社会性・想像力……あらゆる面の土台が育っていく、とても大切なタイミングです。
そんな時期に親子で楽しむ絵本は、
- 言葉や語彙力の基礎
- 想像力・好奇心・創造性
- 感情理解・共感力・自己肯定感
- 集中力・記憶力・認知力
といった、子どもの一生を支える力の“種”を、たくさんまいてくれます。
今回ご紹介したランキングは、どれも
「保育現場でも、おうちでも、子どもたちが実際に大好きだった絵本」を中心に選びました。
ぜひ、お子さんの「今の好き」や、ママ・パパの「読んでみたい」という気持ちに合わせて、
ピンときた一冊から取り入れてみてください。
親子で絵本を囲む時間が、
お子さんにとっても、あなたにとっても、
あたたかくて幸せなひとときになりますように。


