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気づかないうちに、「ダメなところ」を見ていませんか?
「なんでまだ遊んでるの?早く片付けなさい!」 「どうして約束を忘れちゃうの?」
忙しい毎日の中、つい、こんな風に子どもを急かす言葉から会話を始めてしまうことはありませんか?
私自身、かつて保育士としてたくさんの親御さんと接し、また現在は子育てアドバイザーとして多くの方のお話を伺っていますが、皆さん同じように悩んでいます。
私たちは、子どもへの深い愛情から、つい心配になり口うるさくなってしまうのです。でも、安心してください。
私が現場で経験してきたことや、アドバイスを通じて確信したことがあります。
その「見方」を少し変えるだけで、子どものやる気と笑顔は驚くほど増えていきます。
その秘訣が、子どもが「できたこと」を探して伝えるというシンプルな方法です。
「悪いところ探し」から「できたこと探し」へ
経験でわかった!「承認」が子どもの力を引き出す理由
子どもは、親から「ダメ出し」をされると、心が不安でいっぱいになり、新しいことに挑戦する元気を失います。
これは、保育現場で子どもたちの成長をすぐそばで見てきたからこそ、はっきりと感じる変化でした。
一方、親に「すごいね!」「よくやったね!」と認められると、心の中に「嬉しい気持ちのスイッチ」が入ります。
この「嬉しい気持ち」が、「もっと頑張ろう」という、子どもの内側から湧き出るやる気になります。
当たり前の「できたこと」に光を当てよう
「できたこと」探しといっても、特別なことをする必要はありません。
むしろ、毎日の中で子どもが「当たり前にやっていること」こそが、大きな自信につながる宝物です。
例えば、こんな小さなことを見つけてみましょう。
- 朝の準備: 「靴をちゃんと揃えてくれて気持ちがいいね!」
- お手伝い: 「自分からお皿を運んでくれて、ママ(パパ)すごく助かったよ!」
- チャレンジ: 「ブロックを最後まで崩さずに作ろうと頑張ったね!」
親がその小さな行動に気づき、言葉で伝えてあげるだけで、子どもは「自分の頑張りを見てもらえた!」と感じて心が明るくなります。
この積み重ねが、子どもを伸ばす一番の栄養になるのです。
「できたね!」が増えると、子どもの中に“自信の種”が育つ
「自分は大切な存在」という心の土台を作る
親に「できたね!」と認められた瞬間、子どもは「自分はかけがえのない大切な存在なんだ」と感じます。
この「自分は大丈夫」と思える心の強さが、自己肯定感という心の土台です。
この土台がしっかりしている子どもは、こんな風に成長していきます。
- 失敗を恐れない: たとえ失敗しても、「またやり直せばいいや」とすぐに立ち直り、もう一度チャレンジする力が生まれます。
- 友達に優しくなれる: 自分が満たされているので、他人と比べて優劣を競う必要がなく、友達の成功も心から喜べる優しい気持ちを持てます。
子育てのプロとして、私はこの心の土台作りが最も重要だとお伝えしたいです。
「できたね!」の一言は、子どもが未来を生き抜くための「心のエネルギー」をたっぷりチャージしているのです。
「自分はできる!」というイメージを育てよう
「できたこと探し」を続けていると、子どもは親の言葉を通して「自分は、頑張れる人だ」という良いイメージを持つようになります。
この「自分はできる」というイメージこそが、将来、新しい難しいことに挑戦するときに、「きっと自分なら乗り越えられる」と信じて行動を起こす、強力なパワーになります。
今日からできる「できたこと探し」の簡単なコツ
【コツ①】“昨日の自分”より成長したところを見つける
完璧じゃなくていいんです。大切なのは、他人との比較ではなく、「昨日までのその子」との比較です。
保育士時代に見てきたのは、ほんの少しの変化でも見逃さずにほめることが、子どもに最も効くということです。
- 例: 「いつもより3つも多く片付けられたね!すごい進歩だよ!」
- 例: 「前は泣いちゃったけど、今日は頑張って先生に話せたね!勇気があったね!」
子どもは、「ちょっとした変化でも親が見てくれている」と感じると、それが自信になり、自然に頑張ろうと思えます。
【コツ②】結果よりも“頑張っている姿”をほめる
子どもを伸ばす褒め方の最も重要な原則は、「結果」ではなく「過程・努力」を褒めることです。
「難しい問題だったけど、最後まで頭をひねって考えたね!」
「何回も練習した努力が、この結果につながったんだね!」
努力を認められると、子どもは「頑張ること自体が楽しい」と思えるようになります。
この「頑張れる力」こそが、将来どんなことにも負けない粘り強さになります。
【コツ③】寝る前に“できたこと”を一つだけ話す
1日の終わり、リラックスしている時間に、「今日嬉しかったこと」「今日頑張ったこと」を親子で一つずつ話す習慣を取り入れましょう。
- 「今日は、幼稚園(学校)で新しい遊びにチャレンジできたね」
- 「お風呂に自分から入ってくれて、ママ(パパ)の準備が早く終わったよ、ありがとう」
この穏やかな会話で、子どもは「今日もいい一日だった」「自分は愛されている」と感じて、安心して眠りにつくことができます。
親自身も“できたこと探し”をしてみよう
この方法は、実は親御さん自身の心のケアにもとても有効だと、子育てアドバイザーとして感じています。
親も人間ですから、「今日はつい怒りすぎた」「あれもこれもできなかった」と、自分を責めてしまいがちです。
でも、一日の終わりに親自身も自分の「頑張ったこと」を認めてあげてください。
- 「今日もちゃんと家族にご飯を作ってあげた」
- 「仕事で疲れていたけど、子どもの話を聞く時間を作った」
親が自分を認め、「私、今日もよく頑張ったな」と思えると、心に余裕が生まれます。その余裕が、子どもへの優しさにつながり、家族みんなが笑顔になれる第一歩となります。
あなたの「見つけ方」が、子どもの未来を変える
子どもを輝かせる魔法の言葉は、「どうしてできないの?」ではなく、 「ここができたね」「頑張ってたね」「ありがとう」小さなことを継続的に認め褒めることです。
子育てのプロとして、自信をもっておすすめします。あなたの優しいまなざしと、一つ一つ見つける言葉が、きっとお子さんの心に、未来への「自信の種」をまいてくれるはずです。

