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不適切保育は氷山の一角。子どもを守るために保護者が知るべき“園の危険サイン”と対処法

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福岡県の保育園で不適切保育が相次いで発覚したというニュースは、多くの家庭に重い衝撃を与えました。暴言、乱暴な扱い、食事の強制…。

わずか二ヶ月のあいだに98件もの不適切行為が確認されたという報道を前に、多くの保護者が胸を痛めたことでしょう。
しかし私は、このニュースを聞いたとき「また起きてしまったか」と、どこか現実的な受け止めをしてしまいました。
なぜなら、22年間保育士として現場に立ち続けた経験から、こうした問題は「突然起きた異常事態」ではなく、日常の中に静かに積み重なり、ある日表に出てくるもの だと知っているからです。

メディアで取り上げられるのは、誰が見ても明らかな“赤信号”ばかりです。
しかし現場には、赤になる前の“黄色信号”、さらには気づかれにくい“薄い黄色”が無数にあります。
そしてその薄い黄色こそが、子どもの心に影響を与え、やがて園全体をむしばむ危険を孕んでいるのです。


不適切保育は「事件」ではなく、「環境の結果」

不適切保育という言葉を聞くと、どうしても「悪い保育士が悪いことをした」と捉えられがちです。しかし現場にいた私からすると、それは問題の本質から大きくズレています。

不適切保育は個人の資質だけで起きるものではありません。
むしろ、以下のような“環境要因の積み重ね”として生まれることがほとんどです。

  • 人手不足による心の余裕の喪失
  • 過剰な業務負担
  • 管理者の不在や指導不足
  • 職員同士のコミュニケーションの崩壊
  • 「誰も何も言えない」空気
  • 保育士自身の疲弊と孤立

これらの条件が揃うと、不適切保育は静かに、しかし確実に芽を出します。
そして、問題が深刻化するまで誰にも気づかれないんです。


“見えない不適切保育”は日常のそこかしこに潜んでいる

では、不適切保育の芽とはどんなものか。
それは決して暴力や暴言だけではありません。
むしろ、保護者には見えにくい小さなズレの積み重ねが危険なのです。

たとえば、次のような場面は、現場では頻繁に起こります。

  • 子どもの話を最後まで聞かず、急かしてしまう
  • 先生が疲れていて表情が怖くなる
  • 活動を進めることが優先され、子どもの気持ちが置き去りになる
  • 小さなトラブルを丁寧に扱えず流してしまう
  • 否定語が多くなる
  • 「早くして」「なんでわからないの」と感情的に言ってしまう

これらは一つひとつを見ると“事件”ではありません。
しかし、子どもの心は鋭敏です。
大人が気づかないほど小さなズレでも、子どもは確実に影響を受けます。

特に、子どもは言葉よりも“空気”で大人を感じ取ります。
そのため、気分が安定していない先生がいると、子どもの表情や行動が明らかに変わることがあります。





「その日の先生の機嫌」=「その日の子どもの行動」になる園の怖さ

私はこれまで、多くの園で次のような光景を見てきました。

子どもたちが、先生の機嫌を察しながら行動している。

先生が穏やかで笑顔が多いと、子どもたちものびのびと遊びます。
しかし別の日、その先生が忙しさやイライラを隠しきれない状態でいると、子どもたちは急に静かになり、動きがぎこちなくなります。

とくに印象的だったのは、遊んでいた子どもがふと顔を上げ、
先生の表情を確認し、その表情が硬かった瞬間に遊びをやめてしまった姿です。

本来、保育園は子どもがありのままの姿で安心して過ごせる場所であるはず。
にもかかわらず、子どもが大人の顔色で行動を制限されるという現象は、深刻な「環境の危機」です。


最も危険なのは“無自覚な不適切保育者”の存在

ニュースを見れば「ひどいことをする人」に注目しがちです。
しかし現場を熟知している私が最も危険だと感じるのは、

自分が不適切な関わりをしていることに気づいていない保育士

です。

このタイプの保育士は、

  • 忙しくて急いでいる

  • 気持ちに余裕がない

  • 感情を整える時間がない

などの理由から、子どもへの接し方が強くなりがちです。
しかし本人はそれを“正しい指導”だと思ってしまいます。

さらに厄介なのは、周囲が指摘しにくくなることです。

ある園では、無自覚な不適切保育者が注意されそうになるとすぐに機嫌を悪くし、
周囲の保育士たちが口を閉ざしてしまいました。
誰も注意ができなければ、その人のスタイルが園の文化になり、やがて園全体が荒れた雰囲気に包まれます。

これは、園の質が崩壊する前兆です。


子どもは大人が思っている以上に“空気”を吸収する

子どもは感情の読み取りが非常に鋭く、
不安定な大人の感情そのまま受け取ってしまいます。

表情が硬い先生、焦っている先生、声が強い先生――
そんな大人に囲まれた環境は、子どもの心に多大なストレスを与えます。

その結果、

  • 登園を嫌がる
  • 夜泣きが増える
  • 癇癪が強くなる
  • 話さなくなる
  • 表情が乏しくなる
  • 家で甘えが強くなる

といった“心の揺れ”が見られるようになります。

子どもは言葉で「怖かった」「つらかった」と言えません。
表情や行動でしか伝えられないのです。


不適切保育を見抜くための、保護者チェックリスト(保存版)

文章主体の中でも、ここは“実用性重視”で箇条書きを活かします。
あなたのブログの強い武器になる部分です。

▼ 子どもの変化

☐ 急に登園を嫌がる/泣く

☐ 家で情緒不安定になる

☐ 夜泣きが増える

☐ 遊びの中に強い言動が出る

☐ 特定の先生を怖がる

▼ 先生の対応

☐ 常に急かしている

☐ 表情が怒っている・余裕がない

☐ 否定的な声かけが多い

☐ 子どもの話を聞かない

☐ 連絡帳や会話が雑

▼ 園の雰囲気

☐ 子どもたちが先生の顔色を見て行動する

☐ 先生同士がギスギスしている

☐ 職員の入れ替わりが激しい

☐ トラブル対応が不透明

▼ 気づいたときの行動

☐ 子どもの様子をメモ

☐ 担任へ相談

☐ 改善しなければ主任・園長へ

☐ 必要に応じて自治体へ

☐ 子どもの安全を最優先に園変更も選択肢

良い園はどんな園か? 現場経験からわかること

良い園には、共通する特徴があります。
それは、子どもの“心の安全”が最優先されていることです。

  • 先生同士が助け合っている
  • 大人の感情が子どもに向かわない
  • 子どもの意見が尊重されている
  • 職員の配置が工夫されている
  • 保護者とのコミュニケーションが丁寧

特に注目すべきなのは、
先生たちの表情が柔らかい園は、ほぼ例外なく子どもたちも笑顔だということ。
園の質は空気に表れます。
空気の良い園は、子どもにとっても、保護者にとっても、そして保育士自身にとっても安心できる園です。

質問コーナ

不適切保育って、どこまでが「不適切」なんですか?

暴言や暴力のような明確な“赤信号”だけでなく、
子どもの気持ちを置き去りにする対応や、急かしすぎ、否定的な声かけなども“薄い不適切”です。

具体的には、

  • 子どもを傷つける言葉

  • 活動を優先しすぎて気持ちを無視

  • 同じ先生だけが厳しい

  • 園内の空気が常に張りつめている

こうした積み重ねが、子どもの心に影響を与える可能性があります。
「これは違和感があるな」と保護者が感じたら、それは立派なサインです。

 

先生の“機嫌の波”って、子どもにどれくらい影響がありますか?

大人が思う以上に大きいです。
子どもは言葉では伝えられなくても、表情・声のトーン・空気を敏感に感じ取ります。

そのため、先生の感情が不安定だと、

  • 活動に集中できない

  • 自分の気持ちを押し込めてしまう

  • 相手の顔色で行動を変える癖がつく

  • 家で爆発する(癇癪・夜泣きなど)

といった影響が出ることがあります。

 

子どもが「行きたくない」と言う時、どこまで深刻に受け止めるべき?

まずは“理由を探る姿勢”が大切です。
ただし、無理に聞き出そうとしないでください。

  • 何が嫌だったのか

  • 誰と何があったのか

  • いつから言い出したのか

しばらく観察し、他の変化(夜泣き・情緒不安定・食欲低下など)が重なっている場合は、園に相談して大丈夫です。

 

園に相談するとき、どんな伝え方をすれば角が立ちませんか?

“園を責める”ではなく、
「事実ベースで、丁寧に」 がポイントです。

例)
「最近、家で○○のような様子があり、少し気になっています。
園での様子を教えていただけますか?」

この伝え方なら、園も受け止めやすく、協力的になりやすいです。

園を変えるべきタイミングはありますか?

あります。
次のような状況なら、迷わず検討してください。

  • 子どもの不調が続く

  • 相談しても改善がない

  • 園からの説明が不十分

  • 先生の言動に一貫性がない

  • “隠す空気”がある

  • 職員の入れ替わりが激しい

子どもの安全と心の健康が何より大切です。

 

良い園はどう見分ければいいですか?

良い園は、“空気がやわらかい” のが最大の特徴です。

  • 先生同士が助け合っている

  • 子どもの声が自然に響いている

  • 先生が子どもに目を合わせて話す

  • 保護者の相談に丁寧

  • 説明が誠実で透明性がある

1回の見学だけでも、かなり感じ取ることができます。

 

 最後に「子どもは自分で声をあげられない。だからこそ、大人が守る必要がある」

子どもは、怖かったことや悲しかったことを、はっきりと言葉で伝えることができません。
だからこそ、大人が気づき、代わりに声をあげることが大切です。

あなたがこの記事を読んで「知れてよかった」と思った瞬間、
それがすでに子どもを守る一歩です。

どうかこれからも、
お子さんの小さな変化に耳を傾け、
違和感を大切にし、
必要であれば勇気をもって行動してください。

子どもたちが今日も、明日も、
安心して自分らしい笑顔でいられる環境が増えていくことを、心から願っています。

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