0〜3歳の育児って、毎日が謎解きですよね。
さっきまでニコニコしていたのに、突然大泣き。
「抱っこ!」と言うから抱っこしたら「降りる!」、降ろしたらまた「抱っこ!」。
夜、子どもの寝顔を見ながら
「今日も怒ってばかりだったな…」
「こんなママで大丈夫かな…」
と落ち込んでしまうこと、ありませんか?
でも、最初にこれだけは伝えたいです。
あなたはちゃんと頑張っているし、お子さんはちゃんと育っています。
私は元保育士として22年間現場に立ち、今は福岡の公民館などで育児講座をしている「るう先生」です。
2人の子どもの親でもあり、イヤイヤ期も後追いも、フルコースで経験しました。
この記事では、
を、できるだけ分かりやすくお伝えします。
目次
0〜3歳は「脳の大工事中」だから、ぐちゃぐちゃで当たり前
まず知っておいてほしい大前提があります。
脳科学の分野では、
- 3歳までに脳の80〜90%が完成する
と言われています。0〜3歳は、人生の中でも脳の成長スピードが最も速い時期です。
さらに、脳の部位ごとの発達にも順番があります。
- 怒りや不安・恐怖などを感じる「扁桃体」は、かなり早い段階でよく働く
- 気持ちをコントロールする「前頭前野」は、成長がゆっくりで、幼児期はまだ未熟
つまり、0〜3歳の子どもはこういう状態です。
- 感情のエンジン:フルスロットル
- ブレーキ:ほぼ効かない
これで落ち着いて行動しろという方が無理ですよね。
怒る、泣く、叫ぶ、ひっくり返る、物を投げる…。
それは「親を困らせるため」ではなく、脳が発達している途中だからこそ起きる現象なのです。
年齢別「理解不能な行動」の裏にあるもの
ざっくり年齢別に、よくある行動とその裏側を見てみます。
| 年齢 | よくある行動 | 大人の気持ち | 子どもの内側で起きていること |
|---|---|---|---|
| 0〜1歳 | 理由不明の大泣き、後追い | 何で泣いてるの…? | 言葉がないので、泣くしか伝える手段がない/「安心したい」が強い |
| 1〜2歳 | なんでもイヤ!自分でやりたい! | 毎日バトルでぐったり… | 自我の芽生え。「自分で決めたい」「自分でやりたい」が爆発 |
| 2〜3歳 | 癇癪、こだわり、言い返し | わざと反抗してるように見える… | 感情は豊か、でも言葉とコントロール力が追いつかない |
大人から見れば「理解不能」でも、子どもの内側では、
- 興味がたくさん!いろんなことを経験したい
- 自分の気持ちに正直でいたい
- 安心できる人を確かめたい
こんな動きが起きているんですね。
講演会で多かった「1〜2歳がわからない」相談
公民館で講演をしたとき、1〜2歳のお子さんを育てている保護者から、こんな声がたくさん届きました。
「なんでも触って口に入れようとする」
「触ってほしくないところばかり触る」
「嫌なことがあると、ひっくり返って泣き喚く」
どうしたらいいの?
それ以外は、できるだけ経験させてあげてください。それでは下記の 文章を見てください。
幼児期の子どもは、
🔹見て、触って、舐めて、動かしてみてその感覚を脳に溜めていくことで「世界ってこうなっているんだ」と学んでいきます
大人は「考えた結果、やる・やらない」を選べますが、
子どもはまず「やってみたい」が先に来るんです。
だから、
- 何度言っても同じことを繰り返す
- 危ないところに行こうとする
のは、理解が足りないからダメなのではなく、興味が勝っているだけ。
一度で分からないのが普通なので、
同じことを何度も、根気よく伝えることが大事です。
講演のあと、あるお母さんがこう話してくれました。
あなたの育児だけが、特別に難しいわけではありません。焦らなくても大丈夫ですよ
イヤイヤ期は「自分で決めたい」の大爆発
「感情と理性の発達バランス(イヤイヤ期の理由)」
| 年齢 | 感情(扁桃体) | 理性(前頭前野) |
|---|---|---|
| 0歳 | ほぼ最大💥 | ほぼ未発達 |
| 1歳 | さらに強い🔥 | まだ弱い |
| 2歳 | さらにさらに強い😡 | ほんの少し成長 |
| 3歳 | 強い💥 | 少し育ってきた |
1〜3歳にかけての「イヤイヤ期」。
毎日が押し問答で、ぐったりしますよね。
でも、イヤイヤ期は、
- 自分の気持ちがはっきりしてきた
- 自分の意思を通してみたい
という成長のサインです。
イヤイヤの中身をのぞいてみると…
- 本当は「やりたい」「こうしたい」がある
- でも言葉ではうまく説明できない
- 大人から見ると「わがまま」「反抗」に見える
こういうズレが起きています。
NG対応とOK対応
ついやってしまいがちなNG対応は、
- 「早くして!」
- 「なんでそんなことするの!?」
- 「いい加減にしなさい!」
気持ちはすごく分かります。
私も子どもが小さい頃、何度も言ってしまいました。
でも、子どもの気持ちにとっては、
- 自分の気持ちを否定された
- わかってもらえなかった
という痛みになりやすいです。
おすすめのOK対応は、まず一言、
- 「イヤなんだね」
- 「そうしたかったんだね」
と、分かりやすい言葉で気持ちを代弁してあげることです。
その上で、
- 「じゃあ、こっちならできるかな?」
- 「赤い服と青い服、どっちにする?」
といった選択肢を出してあげると、少しずつ折り合いがつきやすくなります。
後追い・ベッタリは「安心を貯金している」サイン
トイレに行くだけなのに大泣き。
姿が見えなくなるとパニック。
後追いが続くと、大人も本当にしんどいですよね。
でも、後追いは、
- この人は必ず戻ってきてくれる
- ここは安心できる場所だ
という安心の土台(愛着)を作っているサインです。
この安心感がしっかり育つと、
- 集団生活に入ったときに自分から離れられる
- 新しい場所でも、チャレンジしやすくなる
など、あとから大きな力になります。
完全に抱っこし続ける必要はありませんが、
- 離れる前に「今からトイレに行くね」と声をかける
- 戻ってきたら「待っていてくれてありがとう」と伝える
こうした小さな積み重ねが、「安心の貯金」になります。
困った行動の裏で育っている「未来の力」
少し視点を変えてみましょう。
| 行動 | 大人の印象 | 実は育っている力 |
|---|---|---|
| 何でも「イヤ!」と主張する | わがまま/反抗的 | 自分の意見を持つ力/自己肯定感 |
| 後追い・べったり | 離れてくれない | 信頼関係/安心感/愛着形成 |
| 同じ遊びを延々と繰り返す | 飽きないの?と思う | 集中力/記憶力/パターン認識 |
こうして見てみると、
「困った行動」=「伸びている途中の力」
に見えてきませんか?
もちろん、毎日向き合っている大人側はヘトヘトです。
「成長しているから」と分かっていても、疲れるものは疲れます。
だからこそ、
- 行動の意味を知って、少しでもイライラを減らす
- 大人の心と体を守るために、意識的に休む
この2つがとても大切になります。
今日から試せる!ラクになる関わり方5選
① 感情を先に受け止める
まずは、子どもの気持ちを言葉にしてあげること
- 「イヤなんだね」
- 「悲しかったね」
- 「それはビックリしたね」
気持ちを言葉にしてもらえると、人は少し落ち着きやすくなります。
これは大人も同じですよね。
② 選択肢を出して「自分で決めた感」を大事にする
「お風呂入るよ!」と一方的に言うよりも、
- 「体から洗う?それとも頭から?」
- 「この服とこの服、どっちにする?」
と2択を提示するだけで、ぐっとスムーズになることがあります。
③ 責める言葉より、行動の提案
つい「走らない!」「触らない!」と否定形で言ってしまいますが、
- 「ゆっくり歩こうね」
- 「これは見てるだけにしようね」
と、やってほしい行動を具体的に伝えると、子どもにも分かりやすいです。
④ 一度では分からない前提で、繰り返し伝える
幼児の脳は、「一度で覚える」ようにはできていません。
何度も繰り返し伝えることで、少しずつ理解が積み重なっていきます。
「前も言ったよね!」とイライラしてしまったら、
「ああ、今まさに脳の配線を作っているところなんだな」と、少しだけ見方を変えてみてください。
⑤ 大人も「助けて」と言う
一番大切なのは、大人が一人で抱え込まないことです。
- 地域の子育て支援センター
- 公民館の育児サークル
- 一時預かりや「誰でも通園制度」
- パートナーや家族への「今日はお願い!」
こうしたものを利用するのは、甘えでもサボりでもありません。
「自分と子どもを守るための、立派な育児スキル」です。
大人の心を守ることが、子どもの心を守ることにつながる
どれだけ知識を持っていても、どれだけ子どもが可愛くても、
大人の心と体に余裕がなければ、うまくいかない日があるのは当然です。
だからこそ、1日に一回でいいので、
- 好きな飲み物をゆっくり飲む
- 数分だけ一人になる
- 深呼吸を3回する
そんな小さな「自分のための時間」を、ぜひ意識的に作ってみてください。
それは決して、子どもをおろそかにしている時間ではありません。
「また子どもと向き合うために、自分をチャージする時間」です。
まとめ〜理解不能な行動は、今日も成長している証拠〜
0〜3歳の子どもは、毎日が全力です。
- 全力で泣き
- 全力で怒り
- 全力で笑い
その姿に付き合う大人も、全力です。
そりゃあ、くたくたになります。
でも、その1日1日の関わりが、
- 子どもの脳と心を育て
- 「生きていく力」の土台
になっています。
今日うまくできなかったとしても、大丈夫。
また明日、やり直せます。
完璧じゃなくていい。
イライラする日があっていい。
泣く日があっていい。
それでも子どもは、あなたを頼りにしています。
ひとりで抱え込まなくて大丈夫。
しんどくなったら、またここに戻ってきてくださいね。
執筆者プロフィール:育児アドバイザー・るう先生
- 保育士として22年間、現場で乳幼児保育に携わる
- 現在は子育てアドバイザーとして活動中
- 少年サッカー指導者として、子どもの成長を長期的にサポート
- 2児の親として、自身も育児の大変さと喜びを経験
- 福岡を中心に、公民館などで育児講座を開催
「子どもの行動が理解不能!」と感じているママ・パパの気持ちに寄り添いながら、
少しでも心が軽くなる情報を発信していきます。





