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兄弟のトラブルは「成長のエネルギー」

「またケンカしてる…」「どうして下の子に意地悪するんだろう?」
毎日のように繰り返される兄弟げんか!長男や長女が下の子への嫉妬に、親としてはイライラが募ってしまいますよね。
つい「いい加減にしなさい!」と強く叱ってしまうのも無理はありません。
でも、安心してください。
実は、兄弟げんかも下の子への嫉妬も、子どもの発達にとってごく自然な感情であり、成長の過程で必ず必要な経験なんです。
この記事では、子育てアドバイザーの視点から、この「自然な成長の波」をどう受け止め、「親のイライラを減らして心がラクになる具体的な対応法を5つ」ご紹介します。
兄弟げんかは「社会性の練習」の場
兄弟げんかは、単に騒がしいトラブルではありません。
それは、子どもたちが実社会に出るための、最も身近で安全なコミュニケーションの練習場です。
子どもたちはケンカを通じて、以下のような大切なスキルを身につけています。
- 順番を待つことや、相手と妥協する方法
- 自分の要求を言葉でしっかり主張すること
- 相手の気持ちを想像し、共感しようとすること
親が心がけたいこと『NG対応とおすすめの対応』

親が「ケンカは悪い」と決めつけて「ケンカしないの!」と一方的に止めると、子どもたちは「自分の気持ちを出すのは悪いことだ」と誤解してしまうことがあります。
代わりに、「ケンカはしてもいいけど、叩くのはナシ!」のように、安全に関するルールだけを決めて見守る姿勢が大切です。
怪我などの危険がなければ、少し距離を置いて子どもたち自身に解決させることで、彼らの問題解決能力が育ちます。
下の子への嫉妬は「愛されたいサイン」
上の子が下の子に意地悪をしたり、突然赤ちゃん返りをしたりするのは、親から見ると困惑する行動ですよね。しかし、これもごく自然な感情です。
嫉妬の行動の裏には、必ず「自分も見てほしい」「愛されたい」という切実な気持ちが隠されています。上の子にとって、下の子の誕生は「愛情を奪われる」と感じるほどの衝撃的な出来事なのです。
親が心がけたいこと:NG対応とおすすめの対応
この時、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ!」と年齢を理由に我慢を押しつけるのはNGです。
これは自己肯定感を下げ、かえって反発が強まる原因になります。
親にとっては大変ですが、「あなたも大切だよ」というメッセージを行動で示すことが何より大切です。下の子のお世話をお願いするより、一緒に上の子を甘えさせる時間を意識しましょう。
上の子の心が愛情で満たされると、嫉妬心は自然と落ち着いてきます。
親のイライラを減らすための工夫

子ども同士のトラブルは、親の心身を想像以上に疲れさせます。
でも、親がイライラしすぎると、そのピリピリした空気が逆に子どもたちのケンカに火をつけてしまうこともあります。
親自身が心を軽くするための工夫をしましょう。
- 「ケンカは成長の一部」と自分に言い聞かせる
- 兄弟それぞれとスキンシップをとり、親自身の気持ちも満たす
- 介入する際は、深呼吸を3回してからと決めて、感情的になるのを防ぐ
親の気持ちに余裕が生まれると、子どもたちも家庭が安心できる場所だと感じ、思い切りぶつかり合えるようになります。
子育てアドバイザーが教える対応のコツ5選
ここでは、具体的なトラブルに役立つ対応のコツを5つご紹介します。
- 【安全を確保し、口げんかはOK】
ケンカを完全に止めようとはせず、「叩いたり物を投げたりするのは絶対NG、でも口で言い合うのはOK」と明確なルールを伝え、安全だけを守って見守りましょう。 - 【言葉にならない気持ちを代弁してあげる】
トラブルの際、すぐに叱るのではなく、まずは子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。
「おもちゃを貸したくなかったんだね」「もっとママに見てほしかったんだね」と寄り添うことで、子どもは「わかってもらえた」と安心できます。 - 【上の子を優先する時間を確保する】
たとえ5分でも構いません。
上の子と2人きりの時間を作り、「ママはあなただけの時間が嬉しい」と直接伝えます。この特別な時間が、上の子の愛情タンクを満たします。 - 【比べない、ラベルを貼らない】
「お兄ちゃんは我慢できるでしょ」といった言葉は厳禁です。
子どもを比較したり、「お兄ちゃん/お姉ちゃん」という役割を押しつけたりするのを意識的にやめましょう。
兄弟それぞれの良いところだけを見て褒める意識を大切にします。 - 【親も一緒に“笑い”で切り替える】
深刻になりすぎず、時にはユーモアも大切です。
激しいケンカの後に「すごい迫力!ケンカ選手権で優勝だね」と冗談を言ってみるなど、笑いに変えて場の空気を和ませることで、親も子どもも気持ちを切り替えやすくなります。
質問コーナー(よくある相談Q&A)

まずは下の子の安全を最優先に確保します。
「叩いたら痛いよ」と短く、冷静に伝え、その場を少し離します。叩くのはNGですが、その原因となった感情はOKと切り分けて、「寂しかった気持ち」をあとでしっかり聞いて甘えさせてあげることが重要です。
赤ちゃん返りは「愛情を確認したいサイン」です。
「もう大きいんだから」と突き放さず、「上の子も赤ちゃんに戻る権利がある」と考えてみましょう。
思い切り抱っこしたり、「オムツをはきたい」と言われたら一度だけ応じてあげたりすると、案外すぐに満足して落ち着くことが多いです。
まず自分を責めないでください。「完璧な親」はいません。
「今日は疲れてるから無理!」と割り切ってOKです。
祖父母やパートナーに正直に協力を頼む、時には一時保育や家事代行といった外部サービスに頼るのも、立派な解決策です。
親の心と体を休ませることが、結果的に子どもたちの安心につながります。
まとめ 〜親も子どもも「一緒に成長している」〜
兄弟げんかや下の子への嫉妬は、どの家庭でも必ず起こる“自然な成長のプロセス”です。
大切なのは、次の3つのことです。
- 完璧に止めようとしない
- 子どもの気持ちを代弁してあげる
- 親も無理しすぎない
親も子どもも「一緒に成長している」と思えたら、毎日のイライラも少しずつ和らいでいきます。今日も子育て、本当にお疲れさまです。あなたの子育ては、ちゃんと愛で満たされていますよ。