サッカー少年や少女の保護者なら、「もっと活躍してほしい」「ケガなく楽しく続けてほしい」と願うものですよね。そのために見逃せないのが日々の食事です。特に成長期の小学生は、体をつくる栄養と、練習や試合で最後まで走り切るためのエネルギーの両方を必要としています。ここでは専門的なポイントを分かりやすくまとめ、今日から実践できる食事術をご紹介します。
目次
1. 毎日の食事:栄養バランスの“フルコース”を意識しよう+身長を伸ばす食トレ

一番大切なのは、毎日の食事を“栄養のフルコース”にすること。目指すのは次の五つがそろった献立で、成長期の骨を伸ばすための栄養素を取り入っているため、身長の伸びもサポートできます。
- 主食(炭水化物) – ご飯やパン、麺類など。体や脳を動かすエネルギー源になります。
- 主菜(たんぱく質) – 肉・魚・卵・大豆製品。筋肉や骨の材料となり、強い身体を作ります。
- 副菜(ビタミン・ミネラル) – 野菜・芋類・きのこ・海藻。体調を整えて疲労回復を助けます。
- 乳製品(カルシウム) – 牛乳・ヨーグルト・チーズ。骨を丈夫にするカルシウムとたんぱく質を供給します。
- 果物(ビタミン・水分) – みかんやバナナなど。ビタミンを補給し、素早くエネルギー補給できます。
例えば夕食に「ご飯+鶏むね肉の照り焼き+ほうれん草のおひたし+りんご+ヨーグルト」が並べば、五つのグループがそろった“栄養フルコース”です。
高学年で活動量が多い子は、ご飯の量や練習後の補食(おにぎりやバナナ)を増やして調整しましょう。
2. 成長曲線:身長の伸びを視覚化

「身長が平均より低いかも」と気になることはありませんか? 下のグラフは、6〜12歳の男児・女児それぞれの身長の中央値を表したものです。
男の子はゆるやかに伸び続け、女の子は10~11歳ごろにぐんと伸びる傾向が見られます。

個人差はありますが、バランスの良い食事と十分な睡眠が身長の伸びを支えてくれることは共通しています。
急に成長し始める時期は子どもによって違いますので、焦らず日々の生活を整えましょう。
3. お弁当のポイント:持ち運びやすく、元気の源に
試合や練習の日のお弁当は、朝の忙しい時間帯に準備するので悩みがち。次の3つを意識すると自然とバランスが整います。
- 主食をしっかり – おにぎりやロールパンなどを多めに詰めて、すぐにエネルギー補給できるようにします。
- たんぱく質中心のおかず – 鶏肉の照り焼きや焼き魚、卵焼きなど消化の良いメニューがおすすめです。揚げ物はついつい入れたくなりますが、量やタイミングに気を配りましょう。前日や試合の直前には控えめにして、普段はサラダや魚料理と組み合わせるなど工夫すると、子どもも喜んで食べてくれます。
- 野菜と果物 – ゆで野菜や煮物は傷みにくく、彩りも良いのでおすすめです。カットフルーツ(みかんやぶどう)を添えればビタミン補給と水分補給もできます。
夏場は保冷剤や保冷バッグを活用し、マヨネーズ和えや生ものは避けるなど衛生面に気を配ってください。子どもが食べ慣れない新しいおかずは、練習日ではなく休日の食卓で試してみると安心です。
4. 試合前日の食事:エネルギーを蓄え、胃腸に優しく

試合前日は、体内にエネルギーを蓄える日です。
主食のご飯やうどんをいつもより多めに食べ、脂肪の少ないたんぱく質を中心にします。豆腐や白身魚、鶏むね肉などは消化が良くおすすめです。
野菜やきのこ、海藻からビタミン・ミネラルも忘れず摂り、水分補給もこまめに行いましょう。
逆に、脂肪の多い肉や揚げ物、香辛料が強い料理は消化に時間がかかるため試合前日だけは控えめに。量とタイミングさえ気をつければ、普段の食卓で揚げ物を楽しむことは問題ありません。
5. 試合当日の食事:軽めに、エネルギー重視で
朝ごはんは試合開始3〜4時間前に
試合当日の朝食は、試合開始の3〜4時間前までに済ませ、炭水化物中心で消化の良いメニューにします。例えば、
- おにぎり+卵焼き+味噌汁+果物
- トースト+ヨーグルト+バナナ
などが定番です。食欲があまりない子には、おかゆやうどん、エネルギーゼリーに置き換えても構いません。
補食は試合1時間前が目安
試合直前に小腹が空くと動きが鈍るので、試合の30〜60分前に軽食(補食)を少量食べましょう。
バナナや小さなおにぎり、カステラやゼリー飲料など、すぐにエネルギーになる食べ物がおすすめです。量が多すぎると胃に残るので、「少し物足りないかな」くらいがベストです。
6. 気をつけたい習慣:ストレスなく見直そう
お菓子・甘い飲み物は控えめに
ジュースや砂糖の多いお菓子をとり過ぎると血糖値の急上昇と急降下を招き、集中力低下や体調不良の原因になりかねません。
日常では量を控えめにし、ご褒美として楽しむ程度にとどめましょう。
朝ごはんは必ず食べる
空腹のまま運動すると、力が出なかったり集中力が続かなかったりします。
忙しい朝でもおにぎりやバナナなど簡単なもので良いので必ず食べる習慣をつけましょう。
食べるスピードを意識する
早食いやドカ食いは消化不良の原因になります。
よく噛んでゆっくり食べるよう意識すると、腹八分目でも満足感が得られ、胃腸の負担も軽減します。
7. 質問コーナー:よくある疑問に答えます
縁起を担いでボリュームのある肉料理を食べたくなるかもしれませんが、試合前日は「最後まで走り切るスタミナ」を蓄えることが大切です。脂の多い料理は消化に時間がかかり、エネルギー源として効率的ではありません。ご飯やうどんなどの主食でしっかり糖質を摂り、たんぱく質は豚ヒレ肉のゆで豚や鶏むね肉の照り焼きなど脂質の少ない料理にしましょう。
学校の給食から練習まで時間が空くと「エネルギー切れ」に陥りやすいため、夕食を2回に分ける「分食」が効果的です。練習前にはおにぎりや麺類など消化が良くすぐエネルギーになる主食を食べ、練習後に残りの夕食を食べるようにします。就寝が近い場合は脂質を控えめにしないと消化に時間がかかって熟睡の妨げになるので注意しましょう。
サプリメントは栄養補助食品であり、飲めば強くなったり技術が上達したりするものではありません。必要な栄養素は基本的にバランスの良い食事から摂ることが大切です。どうしても食事が偏る場合や特別な理由がある場合は、専門家に相談の上で利用するようにしましょう。
大会当日は主な食事を試合の3〜4時間前までに済ませます。ご飯やパンなどの主食でエネルギーを十分満たし、おかずは消化の良いものを選びます。試合が複数ある場合は、1試合ごとにおにぎりやサンドイッチ、カステラ、エネルギーゼリー、果汁100%ジュースなどでこまめに糖質を補給します。脂っこい料理や生もの、食物繊維の多い根菜類は、当日や前日に大量に摂ると消化に時間がかかるため控えめにしましょう。
子どもは大人よりも脱水症状を起こしやすく、のどが渇いたと感じてからでは遅いこともあります。運動をしていない10歳前後の子どもでも1日に約1リットルの水分が必要で、汗をかく日はさらに補給が必要です。運動中はこまめに水分を補給することでパフォーマンスの低下を防げると報告されています。
野菜や果物が苦手な子には、スープやスムージーに混ぜてしまうと食べやすくなります。また、少量から慣れさせたり、調理法や味付けを変えたりすることで徐々に食べられる食材が増えていきます。甘いお菓子は「ご褒美」として時々楽しむ程度にし、日常的に食べ過ぎないようにしましょう。
まとめ『食事はもうひとりの“コーチ”』
日々の食事は、サッカーの練習や試合と同じくらい重要なトレーニングです。
五つの栄養グループをそろえた“栄養フルコース”の食事や、試合前後のタイミングに合わせた食事の工夫が、子どものパフォーマンスを大きく後押しします。
さらに、成長期の身長を伸ばすには、通常のバランス食に加え、骨を伸ばすタンパク質やカルシウム、亜鉛、マグネシウムを意識して摂ることが大切です。
子どもは体重1kgあたり1.5〜2g程度のタンパク質を必要とし、鶏むね肉や魚、大豆製品、卵、乳製品などが良質な供給源となります。
カルシウムは牛乳やチーズ、小魚に豊富で、成長期の子どもは大人より多い600〜900mg程度の摂取が推奨されています。
亜鉛やマグネシウムを含む納豆や海藻、ひじきなども骨の成長を支えます。
十分な睡眠や休息も忘れずに。
完璧を目指す必要はありません。
少しずつ取り入れ、家庭に合ったスタイルで続けることが一番です。家庭の食卓が「もうひとりのコーチ」となり、子どもたちのパフォーマンスと身長の伸びをサポートしてくれるでしょう。
参考文献
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日本サッカー協会「栄養ガイドライン2024」jfa.jp
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文部科学省「学校保健統計調査」mext.go.jpmext.go.jp
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ダノンジャパン株式会社「小学生アスリートの栄養と水分補給」danone-institute.or.jpdanone-institute.or.jpdanone-institute.or.jpdanone-institute.or.jpdanone-institute.or.jp
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日本陸上競技連盟「試合当日の食事」jaaf.or.jpjaaf.or.jpjaaf.or.jp
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スポーツファミリー食育ブログ「好き嫌い克服の工夫」sportsfami.comsportsfami.com

