「これ買って!」「まだ遊びたい!」「なんで私だけ!」—お子さんのこんな声に、思わず「うちの子って、もしかしてわがままなのかな?」と頭を抱えてしまうことはありませんか?
お父さんお母さん、一人で悩まないで大丈夫です。
私は元保育士で、2人の子どもを育ててきました。
これまで多くのお子さんと保護者の皆さんと関わる中で、皆さんが「わがまま」と感じる言動の裏には、お子さんたちの様々な思いや、大切な成長のサインが隠されていることをたくさん見てきました。
「わがまま」に見える行動は多くのお子さんが通る道であり、実は成長の大切なステップであることも少なくないんです。
この記事では、私の経験も踏まえながら、お子さんの「わがまま」に見える言動が一体何を意味しているのかを深く掘り下げて理解するポイントと、それに対してどう接してあげたら良いのかを、具体的な方法で分かりやすくご紹介します。
目次
1. それは本当に「わがまま」?
実は「成長の一歩」としての自己主張

お子さんの言動を「わがまま!」とすぐに決めつけてしまう前に、それがお子さんの成長段階において自然に現れる「自己主張」である可能性を、もう少しじっくり考えてみましょう。
私たち大人が「わがまま」だと感じてしまう行動の多くは、お子さんが一生懸命に
「これがしたい!」「こう思ってる!」と自分を表現したり、周りの世界を理解しようとしたりしている、大切な証拠なんです。
【3〜5歳頃】
気持ちを理解したり、表現したりするのがまだ難しい時期
この年齢のお子さんは、まだ他の人の気持ちを想像するのがとても難しいんです。
だから、どうしても自分がしたいことや、自分の「こうしたい!」という気持ちが一番になってしまい、それが原因で友達とのケンカやトラブルになることがよくあります。
でも、これは「わがまま」だから起きるのではなく、まだ相手の気持ちを理解したり、自分の気持ちを上手に言葉で表現したりすることが苦手な時期だからこそ…
大人から見ると「わがままに見える」のは、この時期ならではの、ごく自然な成長のステップなんです。
- 気持ちを言葉にするのが苦手
まだ知っている言葉が少なかったり、悲しい、嬉しい、嫌だ、といった複雑な気持ちをどう伝えたらいいか分からなかったりします。
だから、その代わりに泣き叫んだり、物を投げたり、床に座り込んだりして、体全体で自分の気持ちを表現するんです。
これは、この時期の子どもにとっては「言葉」のようなものなんですね。 - 「今すぐ!」の気持ちが強い
「あれ欲しい!」と思ったら、「今すぐ手に入れたい!」と感じます。
時間の感覚もまだぼんやりしているので、「後でね」とか「待っててね」が、とても難しいんです。 - 遊びの中のこだわり
他のお子さんとおもちゃを貸し借りするのが苦手なのも、まだ相手の気持ちを想像することが難しいからです。
自分が遊んでいるおもちゃは「私のもの!」という気持ちがすごく強くて、「みんなで使う」という考え方がまだ理解しにくいんです。 - こんな時、「わがまま」って感じるかもしれません
- 欲しいものや要求が通らないと、場所を気にせず大声を出したり、泣きわめいたりする。
- 「どうしてダメなの?」と聞いても、こちらの説明はあまり聞いていないように見える。
- おもちゃの取り合いや順番のことで、他のお子さんとのケンカが多い。
- 着替えやご飯など、「自分でやりたい!」っていう気持ちが強いけれど、なかなかうまくいかずに時間がかかる。
【6〜10歳頃】
社会のルールと自分の気持ちのぶつかり合い、そして自立への一歩
小学校に入学するこの頃になると、お子さんはお家という小さな世界から、学校という大きな集団生活へと一歩踏み出します。
ここから、社会のルールや、友達との協力、自分の気持ちを我慢することを本格的に学び始めます。
でも、これはお子さんにとって大きなチャレンジなんです。
自分の「こうしたい!」という気持ちと、学校や社会のルールとの間でぶつかり合いが生まれ、それが「わがままに見える」行動として現れることがあります。
- 社会との違いに戸惑う
学校では「順番を守る」「みんなで協力する」「我慢する」といったルールが求められます。
でも、お家では自由に振る舞っていたお子さんにとって、この「社会のルール」は時に窮屈に感じて、自分の気持ちを抑えることに反発を感じることがあります。 - 「自分で決めたい!」が強くなる
中学生になる準備段階として、親から少しずつ精神的に自立する気持ちが芽生え、
「自分でやりたい」「自分で選びたい」という強い自立心が育ちます。
しかし、まだ自分で全てを判断したり、問題を解決したりする力が十分ではないので、親から見ると「わがまま」や「反抗期」のように見えてしまうことがあるんです。 - 友達との関係が大事になる
友達との関係がとても大切になり、「友達に認められたい」「仲間に入りたい」という気持ちが強くなります。
だから、友達の意見に流されたり、目立ちたい気持ちから、私たちから見ると「わがままに見える」行動を取ることがあるんです。 - こんな時、「わがまま」って感じるかもしれません:
- 友達との意見の食い違いが多く、自分の意見をなかなか変えない。
- 負けず嫌いがとても強くなり、負けると激しく悔しがる。
- お父さんやお母さん、先生の言うことに対して、「なんで?」「やだ!」と口答えが増える。
- ゲームや特定の遊びに対して、親が時間などを制限するのをとても嫌がる。
- 自分の好きなものや欲しいものに対して、すごく強いこだわりを見せる。
2. 「わがまま」の裏に隠された、お子さんの本当の気持ちを見つけよう

お子さんが「わがまま」だと感じてしまう行動は、決してただの駄々ではありません。
その裏には、お子さん自身の様々な複雑な気持ちや、満たされていない思いが隠されていることが多いんです。
まるで水に浮かぶ氷山のように、目に見える行動の下には、もっと深い理由があることがよくあります。
「私の育て方が悪いのかな?」って自分を責める前に、まずはお子さんの心の声に耳を傾けてみましょう。
- 言いたいことがあるのに、うまく言葉にできない
特に小さなお子さんはそうですが、小学生になっても「どう言えば自分の気持ちが伝わるのか分からない」ということがあります。
例えば、「すごく疲れていて集中できない」「友達に嫌なことを言われた」など、具体的な感情や状況を言葉で伝える力がまだ十分でないために、結果として感情的な行動(叫ぶ、物を投げたり、無視したりする、など)に出てしまうんです。現役保育士時代には、悔しさや悲しさをうまく言葉にできず、物に当たってしまう子もいました。 - 不安やストレスを感じている
お子さんは、私たち大人が想像する以上に、周りの状況に敏感です。
環境の変化(兄弟が生まれた、引っ越した、転校した、お父さんやお母さんの仕事が変わった、など)や、普段の生活の中で何か不安なことやストレスを抱えていると、気持ちが不安定になりやすいものです。
例えば、新しい環境に慣れるのにすごく疲れていたり、学校で友達関係に悩んでいたりする可能性もあります。
こうした心の疲れが、「わがまま」に見える行動という形で「助けてほしい」というサインを送っていることもあるんです。
普段と違う行動が見られたら、「何かあったのかな?」と少し立ち止まって考えてあげましょう。 - もっと見てほしい、甘えたい
お子さんは、お父さんお母さんからの愛情や関心を何よりも求めています。
もし、お父さんお母さんが忙しかったり、兄弟がいてなかなか自分に注目してもらえないと感じていたりすると、わざと困らせるような行動をすることがあります。
これは、「僕(私)のことを見てほしい」「もっと構ってほしい」という、純粋な甘えのサインである場合がほとんどです。
いたずらをしたり、わざと悪い言葉を使ったりするのも、もしかしたら親の注意を引きたい、という気持ちの表れかもしれませんね。 - 自分で選びたい、自立したいという気持ち
成長するにつれて、「自分でやりたい!」「自分で決めたい!」という強い自立心が芽生えます。
しかし、親が「まだ早いから」「危ないから」と、先に手を出してしまったり、全て指示してしまったりすると、お子さんは自分の意見が認められないと感じて、反発する形で「わがまま」に見える行動をするようになるんです。
これは、「自分の力を試したい」「個性を認めてほしい」という、健全な成長の証であり、この気持ちが満たされないと、将来的に自分で考えて行動するのが苦手になったり、自信を持てなくなってしまったりすることもあります。 - 体調が悪い、疲れている
意外と見落としがちなのが、体調不良や体の疲れです。
熱があるわけではなくても、少し風邪気味だったり、寝不足だったり、体がだるかったりするだけでも、お子さんの機嫌は悪くなり、「わがまま」に見える行動が増えることがあります。
いつもより元気がないな、と感じたら、無理をさせずにゆっくり休ませてあげることも大切です。
3. もしかして発達の特性?
「わがまま」と「発達の特性」の境目を見極める

「うちの子、もしかして発達のことで何かあるのかな?」という疑問は、多くのお父さんお母さんが一度は抱くものです。
特に、今まで見てきたような「わがままに見える」行動がとても頻繁に起こったり、特定のことに対してすごく強いこだわりを見せたりすると、そう考えてしまうのも無理はありません。
でも、「わがままに見える行動」と「発達の特性」は、必ずしも同じではありません。
多くの場合、お子さんの行動は成長の途中で自然に起こることで、周りの関わり方で良い方向に変化していきます。
では、どんな時に「発達の特性(発達障害)」を考えた方が良いのでしょうか?
☑️ボックス行動がとても頻繁で、激しい
例えば、癇窻は多くの子どもに見られますが、それが毎日のように起こったり、一度始まると何時間も続き、どうにも手がつけられないほど激しかったりする場合。
☑️年齢と比べて「発達の遅れや偏り」が大きい
他のお子さんと比べて、言葉の理解や人とのコミュニケーション、友達との関わり方、体の動かし方などで、明らかに大きな遅れや偏りが見られる場合。
☑️「日常生活でとても困っている」ことがあるか
お家だけでなく、幼稚園や学校、習い事など、色々な場所でずっと同じような困りごとが見られて、普段の生活を送る上でかなり大変そうにしている場合。
☑️「こだわり」が異常に強い
特定の物や行動にとても強くこだわりを持ち、それが少しでも違うと激しく怒ったり、別の活動へ切り替えるのが極端に難しかったりする場合。
☑️感覚の感じ方が独特
音や光、匂い、肌触りなどに極端に敏感で、少しの刺激でパニックになったり、逆に痛みや温度にほとんど気づかなかったりする場合。
もし、これらのチェックポイントに複数当てはまり、お子さんの行動が「ただのわがまま」だけでは説明できないと感じるなら、それはお子さん自身が感覚や物事の捉え方の特性から、日常生活で困りごとを抱えている可能性があります。
「発達の特性かも?」って思ったら、どうすればいい?
決して、自分一人で悩んだり、インターネットの情報だけで判断したりしないでください。
専門家や信頼できる人に相談することが大切です。
- まずは、いつもの小児科の先生や、地域の保健師さんに相談してみましょう
身近な専門家は、お子さんの成長を客観的に見てくれる、とても良い相談相手です。
「ちょっと気になることがあるんです」と気軽に話してみてくださいね。 - 子育て支援センターや発達相談窓口を利用する
各自治体には、子育てに関する悩みや発達に関する相談を受け付けている専門の窓口があります。
専門家から具体的なアドバイスをもらえたり、必要であれば専門の支援機関(発達支援センターなど)を紹介してもらえたりします。 - 幼稚園や学校の先生と話してみる
毎日お子さんと接している先生方は、お家での様子とは違う一面を知っていることもあります。
お家と外での様子を共有することで、より色々な角度からお子さんを理解する手助けになります。
大切なのは、「診断」を受けることだけが目的ではありません。
お子さんが「今、どんなことで困っているのか」「どうすればお子さんがもっと楽に、自分らしく毎日を過ごせるのか」という視点で、お子さんに合ったサポートを探していくことです。
たとえ特性(発達障害)があったとしても、それは「病気」ではなく、お子さんの「個性」の一つと考えて下さい。
発達を理解し、お子さんに合った支援があれば、お子さんは大きく成長できますよ。
4. 「どうしていいか分からない」と思った時に親ができること
〜元保育士が実践した具体的な方法〜

お子さんの「わがままに見える」言動に、どう対応すればいいのでしょうか?
私が保育士時代に心がけていたこと、そして自分の子育てで実際にやってきた具体的な方法を、一つずつステップごとにご紹介します。
【ステップ1】
まずは落ち着いて、お子さんの気持ちを受け止める(話を聞いて、共感する)
お子さんが感情的になっている時、私たち大人もつられて感情的になってしまい、つい怒鳴ってしまうことがあるかもしれません。
でも、そこをぐっとこらえて、まずはお子さんの感情をそのまま受け止めることから始めましょう。
- 目線を合わせて話す
お子さんの目線までかがんで、顔を見て話しましょう。
これだけでお子さんは「お父さん(お母さん)が僕(私)の話を聞いてくれている」と感じやすくなります。 - 最後まで話を聞く
お子さんの言いたいことを途中で遮らず、まずは最後まで耳を傾けましょう。
たとえ話がごちゃごちゃしていても、お子さんにとっては一生懸命伝えようとしていることです。 - 気持ちを言葉にしてあげる
「〜したかったんだね」「〜って感じたんだね」と、お子さんの気持ちを親が言葉にして言ってあげることが大切です。
例えば:「おもちゃ取られちゃって、悲しかったね」「もっと遊びたかったのに、もう帰る時間になっちゃって、嫌だね」 - 「私」を主語にして伝える
「あなたはそれは、わがままよ!」と言うのではなく、「私は〜(子どもの気持ちを聞く姿勢)」というように、主語を「私」にして伝えます。
例えば:「私は、なんで怒ってるのが理由がわからないよ」…その後に話を聞き出す。
【ステップ2】
どうしてそうしたいのか、一緒に考えてみる
お子さんの気持ちを受け止めたら、次にお子さんがなぜそのような行動を取ったのか、その行動の裏にある理由を探りましょう。
- 問い詰めるのではなく、一緒に考える質問をする
「なんで?」「どうして?」と一方的に問い詰めるのではなく、「どうしたらよかったかな?」「どんな気持ちになったの?」など、お子さんが自分の考えを話しやすいような質問をします。お子さん自身が解決策を考えるきっかけも作ってあげましょう。 - 選べるように手助けする
言葉で表現するのが難しいお子さんには、「AとB、どっちが嫌だった?」「〜したかったからかな?」と、いくつかの選択肢を提示して、お子さんが選びやすいようにサポートすることも有効です。 - 気持ちに寄り添い、どこまでならOKかを探す
全ての要求に応じる必要はありません。でも、お子さんの気持ちに寄り添いながら、どこまでなら親として許してあげられるのか、どこで妥協点を見つけられるのかを一緒になって考えてみましょう。
【ステップ3】
わかりやすいルールを決め、ブレずに接する
お子さんが「次に何が起こるか」を予想できる環境で過ごすことは、安心感につながり、自分の気持ちをコントロールする力(自己コントロール能力)を育む上でとても大切です。
- お家のルールをハッキリ決める
「おもちゃは使ったらお片付けする」「寝る前に絵本を1冊読む」「お友達を叩いてはいけない」など、分かりやすい言葉で具体的にルールを決めましょう。 - 見てわかるようにする
小さなお子さんには、ルールを絵や写真で貼り出すなど、目で見ても分かりやすく提示するのも効果的です。 - ルールを破った時のことも決めておく
ルールを破った場合にどうするのか(例:おもちゃが片付けられないなら、次のおもちゃは使えない、など)をあらかじめ決め、毎回同じように実行しましょう。
感情的にならず、冷静にルールを守らせることが大切です。 - 「ダメなことはダメ」と伝える勇気を持つ
お子さんの要求全てに応じる必要はありません。
時には、お子さんにとって良くないことや、お家のルールに反することに対しては、きっぱりと「それはダメだよ」と伝える勇気も必要です。その際も、「なぜダメなのか」を簡潔に、お子さんが理解できる言葉で説明しましょう。
【ステップ4】
自分で選ぶ機会を与え、自信を育む
「わがままに見える」行動の裏には、「自分で決めたい!」という強い自立心が隠されていることがあります。
この気持ちを満たしてあげることは、お子さんの「自分はできる!」という気持ち(自己肯定感)を育てます。
- 小さなことから選ばせる
「朝ごはんはパンとご飯、どっちにする?」「今日着る服は、赤と青、どっちがいい?」など、日常のささやかなことからお子さんに選ばせる機会を与えましょう。 - 選べる範囲を決めてあげる
「おもちゃを一つ選んでいいよ」「絵本を2冊読んであげようか」など、親が許せる範囲の中で選択肢を与えることで、お子さんは「自分で決めている」という感覚を持つことができます。 - 選んだ結果を受け入れ、尊重する
お子さんが自分で選んだことは、たとえ親から見て「それが一番いい選択かな?」と思っても、まずはその選択を尊重してあげましょう。もし失敗しても、それがお子さんにとって大切な学びの機会になります。
【ステップ5】
できたこと」を具体的に褒め、感謝を伝える
お子さんの良い行動を見つけて、積極的に褒めることは、お子さんの「自分はできる!」という気持ちを高め、望ましい行動をさらに促すための最も効果的な方法です。
- 具体的に褒める
「いい子だね」といったぼんやりした褒め言葉ではなく、「おもちゃをきちんと棚に片付けられたね、えらいね!」「弟に優しく貸してあげて、ありがとう」のように、何が良かったのかを具体的に伝えましょう。 - 頑張った過程を褒める
結果だけでなく、「一生懸命考えていたね」「最後まで諦めずに頑張ったね」と、努力の過程を褒めることで、お子さんの「やってみよう!」というチャレンジ精神を育てます。 - 感謝の気持ちを伝える
「お片付けしてくれて、お母さん(お父さん)助かったよ、ありがとう」「静かに待っててくれて、本当にありがとう」と、感謝の気持ちを伝えることで、お子さんは自分が役に立ったと感じ、自信を持つことができます。
【ステップ6】
時には見守る勇気を持つ、そして親子で休む時間を大切に
子育てはマラソンのようなものです。常に気を張っていると、親も子も疲れてしまいます。
- あえて見守る
全てを先回りして解決するのではなく、お子さん自身で考える時間を与えたり、小さな失敗を経験させたりすることも大切です。
自分で困難を乗り越える経験は、お子さんの問題を解決する力を育てます。 - 距離を取る時間も大切
お子さんの癇窻がひどい時や、どうしても親が感情的になりそうな時は、お子さんの安全を確保した上で、少しその場を離れることも必要です。
「ちょっとお母さんも(お父さんも)落ち着く時間が欲しいから、別の部屋で待ってるね」「あなたが落ち着いたら自分のタイミングで出てきてお話し聞かせて」と伝えても大丈夫です。 - 親自身の休息
子育ては体力も精神力も使います。
お父さんお母さん自身が疲れていると、心に余裕がなくなり、お子さんの「わがままに見える」行動に過剰に反応してしまうことがあります。
時にはリフレッシュする時間を取り、心と体の健康を保つことも非常に重要です。
家族に協力してもらう、好きなことをする、ゆっくり休む、夫婦で協力する、など、自分に合った方法で休息を取りましょう。
保護者からよくある質問

「うちの子、これって大丈夫?」と感じたときに
特に3〜5歳頃は、自分の思いをうまく表現できないことで癇癪を起こすのはよくあることです。
気持ちに共感しつつ、少しずつ「どうしてそう感じたのか」を言葉にできるよう関わってみましょう。
こだわりの強さも個性の一部ですが、生活や集団生活に大きな影響が出ているようなら、
園や小児科、相談機関に話してみても良いかもしれません。
「診断をつけるため」ではなく、「その子がラクに過ごせる方法を一緒に考えるため」です。
怒ってしまうのは当然のこと。
「怒っちゃった、ごめんね」「お母さんも疲れてたの」と気持ちを伝えるだけで、子どもとの信頼関係は回復できます。
それよりも、“怒りすぎる前にどう休めるか”を意識していきましょう。
地域の子育て支援センター、保健センター、通っている園や学校など、まずは「ちょっと聞いてみたいんですけど…」という一言から始めても大丈夫。
子どものことをよく知る人に相談するだけで、見え方が変わることも多いです。
☘️一番大切なのは、「困っているのは誰?」という視点
「子どもが困っているのか」「親が困っているのか」
どちらであっても、困りごとは解決していいものです。
わがままに見える行動も、「生きづらさのサイン」かもしれないし、「成長のプロセス」かもしれません。
大切なのは、一人で抱え込まず、“子どもがラクに生きられる道”を一緒に見つけていくことです。
📕おすすめ絵本📗
子どもの「気持ち」や「育ち」を知るヒントに
お子さんの行動の“背景”を知るには、絵本の力を借りるのも効果的です。
子どもと一緒に読むだけでなく、保護者の心にも響く一冊をご紹介します。
『わたしのワンピース』(にしまきかやこ)
対象年齢:2歳〜
内容のポイント
想像力豊かな主人公の自由な発想が、個性を認める気持ちにつながる一冊。
『ちょっとだけ』(瀧村有子・鈴木永子)
対象年齢:3歳〜
内容のポイント
下の子が生まれて「ちょっとだけ」我慢している上の子の気持ちを描いた感動作。
『おこだでませんように』(くすのきしげのり)
対象年齢:4歳〜
内容のポイント
“怒られてばかりの子”の本当の気持ちに触れられる、保護者にも刺さる一冊。
『ぼくはあるいた まっすぐ まっすぐ』
(マーガレット・ワイズ・ブラウン)
対象年齢:3歳〜
内容のポイント
子どもの“自分でやってみたい”気持ちを尊重するきっかけになる絵本。
🧩相談したいときに頼れる支援先リスト
「ちょっと気になる」「誰かに聞いてみたい」…そんなとき、ひとりで抱え込まないで大丈夫。
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支援先名 | 主なサポート内容 | 相談方法 |
市区町村の子育て支援課・子ども家庭支援センター | 発達・育ち・育児全般の相談 | 電話・窓口・訪問など(予約推奨) |
発達支援センター・児童発達支援施設 | 専門家による発達相談、療育の紹介など | 面談・発達チェックテスト等(無料も多い) |
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オンライン相談サービス(例:WISCに詳しい臨床心理士など) | 忙しくても全国どこからでも相談可 | 民間(有料)で検索/予約制が多い |
まとめ
〜「わがまま」は、お子さんの成長の大切なサイン!〜
お子さんの「わがままに見える」行動のほとんどは、健全に成長しているからこそ現れる、大切なサインです。
お子さん自身も、自分の気持ちをどう表現すればいいのか、どう行動すればいいのかを、毎日一生懸命に学んでいる最中なんです。
私たち親は、そのサインを見逃さず、お子さんの気持ちに寄り添い、適切なサポートをしてあげることで、お子さんは「自分はできる!」という自信や、自分の気持ちを上手に調整する力、そして社会で生きていく力を育てていくことができます。
私の保育士としての経験や、2人の子育てを通して実感した事は、子どもたちは親が思っている以上に私たちをよく見て、真似して育つということです。
私たち大人が、感情的にならず、一貫した態度で、そして何よりも愛情を持って接することが、お子さんの健やかな成長への一番の近道です。
今回の記事が、お子さんとのコミュニケーションをより豊かにするヒントになれば幸いです。お子さんの成長を温かく見守りながら、時に悩み、時に喜び、一緒に乗り越えていきましょう!
もし、今お子さんの「わがまま」に見える行動で悩んでいる方がいたら、ぜひ今回の内容を思い出してみてください。
そして、一人で抱え込まず、信頼できる人に相談することも大切ですよ。あなたのお子さんも、そしてあなた自身も、かけがえのない大切な存在です。
