子どもの自己肯定感を育てる褒め方|「できたこと探し」5つのコツ【元保育士が解説】
「また片づけていない」「どうして何度言ってもできないの?」
忙しい毎日では、できていないことほど目に入りやすいものです。子どものためを思って声をかけているのに、気づけば注意ばかりになり、後から落ち込むこともありますよね。
そんなときに試してほしいのが、子どもの一日の中から小さな変化や頑張りを見つける「できたこと探し」です。
大げさに褒める必要はありません。「自分で靴をそろえたね」「途中で投げ出さずに考えていたね」と、見えた事実を言葉にするだけで十分です。
この記事では、保育士として22年間子どもたちと関わってきた経験をもとに、子どもの自己肯定感や意欲を支える声かけを、今日から使える具体例とともに紹介します。
「できたこと探し」とは?
「できたこと探し」とは、結果の良し悪しだけで判断せず、子どもの行動・工夫・努力・小さな変化に目を向けて言葉にする関わり方です。
たとえば、部屋を完璧に片づけられなかった日でも、
- 声をかけたら片づけを始められた
- おもちゃを三つ箱に戻せた
- 途中で困ったことを大人に伝えられた
という「できた部分」があります。
できていない部分を見ないふりをするのではありません。まず取り組めた部分を認めたうえで、次にどうすればよいかを一緒に考えることが大切です。
なぜ「結果」だけでなく努力や変化を見るの?
子どもは、身近な大人から自分の行動を見てもらい、具体的に認められることで「ここまでできた」「次もやってみよう」と感じやすくなります。
米国小児科学会の保護者向け情報でも、目標を達成した結果だけでなく、努力や小さな変化を認め、できるだけ具体的に伝えることが紹介されています。
文部科学省の資料でも、家庭で小さな成功体験の場をつくり、よいところを認めながら自信を支えることの大切さが示されています。
ただし、褒めれば必ず自己肯定感が高くなる、と単純に考える必要はありません。子どもの気持ちを聴くこと、失敗しても安心できること、ありのままの存在を大切にすることも同じくらい重要です。
今日からできる「できたこと探し」5つのコツ
1.「すごい」だけでなく、見えた事実を伝える
「すごいね」「えらいね」も嬉しい言葉ですが、それだけでは何を認められたのか分からないことがあります。
| 短い褒め方 | 具体的な伝え方 |
|---|---|
| えらいね | 言われる前に靴をそろえたね |
| 上手だね | いろいろな色を選んで丁寧に描いたね |
| すごいね | 難しいところでも、やり方を変えて試していたね |
見えたことをそのまま伝えると、「自分の行動を見てもらえた」という実感につながります。
2.結果より、途中の工夫や努力に目を向ける
勝った、満点を取った、上手に完成したという結果だけでなく、そこまでの過程を見つけます。
「間違えても、もう一度考えていたね」
「昨日より長い時間、集中して取り組めたね」
「悔しかったけれど、最後に相手へ挨拶できたね」
努力を結果と切り離して認めることで、うまくいかなかった日にも次の一歩を見つけやすくなります。
3.ほかの子ではなく、過去の本人と比べる
兄弟や友達との比較は、子どもにとって「自分は負けている」という印象になりやすいものです。
比べるなら、昨日や少し前の本人にしましょう。
- 前は手伝いが必要だったけれど、今日は一人でできたね
- この前よりも早く気持ちを切り替えられたね
- 前より自分の言葉で説明できるようになったね
成長の速さは一人ひとり違います。小さな変化を見つけることが、その子らしいペースを大切にする関わりにつながります。
4.「ありがとう」で役に立てたことを伝える
お手伝いでは、「上手にできたね」だけでなく、何が助かったのかを伝えてみましょう。
- お皿を運んでくれたから、夕食の準備が早くできたよ
- タオルをたたんでくれて助かったよ、ありがとう
- 弟に教えてくれたから、安心してできたみたいだね
家事は完璧さを競うものではなく、家族の一員として力を出す経験です。年齢に合った家事は、子どものお手伝いは何歳から?1歳〜小学生の年齢別家事一覧で詳しく紹介しています。
5.一日の終わりに一つだけ振り返る
寝る前やお風呂など、落ち着いた時間に「今日できたこと、何かあった?」と親子で一つずつ話してみましょう。
子どもが思いつかない日は、大人から「朝、眠かったけれど起きられたね」と伝えるだけでも構いません。毎日続けることを義務にせず、できる日に短く楽しむのがコツです。
年齢別「できたこと」の見つけ方と声かけ例
幼児期
- 自分でやろうとしたね
- 貸してって言えたね
- 泣いた後に気持ちを教えてくれたね
- おもちゃを一つ箱へ戻せたね
幼児には、短く分かりやすい言葉が伝わりやすいです。行動の直後に声をかけると、何を認められたのか理解しやすくなります。
小学生
- 自分で時間を見て準備を始めたね
- 分からないところを先生に質問できたね
- 友達の意見も最後まで聞いていたね
- 失敗した理由を自分で考えられたね
小学生には、親が評価を決めるだけでなく、「自分ではどこを頑張ったと思う?」と本人の考えを聴くことも大切です。
子どもが失敗したときはどうする?
うまくいかなかった直後に、無理やり「でもここはできたよ」と前向きにさせようとすると、子どもは「悔しい気持ちを分かってもらえない」と感じる場合があります。
まずは、
- 悔しかったね
- 頑張っていたから、悲しいよね
- 今は話したくなければ、後でもいいよ
と気持ちを受け止めましょう。少し落ち着いてから「次に変えられそうなことはある?」と一緒に考えます。
親が怒りすぎたと感じた日は、褒めて帳消しにしようとせず、率直に関係を修復することが大切です。詳しくは子どもに怒りすぎたとき、関係を修復する5つの言葉も参考にしてください。
褒めるときに気をつけたい3つのこと
大げさに褒めすぎない
簡単なことまで毎回大げさに褒めると、子どもが「本当にそう思っているの?」と感じることがあります。評価するより、事実や感謝を自然に伝えましょう。
性格や能力を決めつけない
「天才だね」「いつも優しい子だね」と決めつけると、そのイメージを守ることが負担になる場合があります。「工夫したね」「困っている子に声をかけたね」のように、そのときの行動を伝えます。
できない部分を無視しない
改善が必要なときは、まずできた部分を確認してから、次の一歩を具体的に伝えます。
「ここまで片づけられたね。残りの車のおもちゃは、どこに入れようか?」
注意することと認めることは、どちらか一方ではありません。子どもが次に動きやすい伝え方を選びましょう。
親自身にも「できたこと探し」を
子どものよいところを見つけるには、親の心の余裕も必要です。しかし、仕事や家事、育児が重なる中で、いつも穏やかに接するのは難しいですよね。
一日の終わりに、親自身のできたことも一つだけ見つけてみてください。
- 朝、子どもを無事に送り出した
- 忙しくても話を一度は聴けた
- 疲れていることを家族に伝えられた
- 今日は無理だと判断して休めた
できなかったことがあっても、今日一日を回してきたこと自体が頑張った証拠です。親が自分を責めすぎないことも、家族の安心につながります。
まとめ|褒めるより先に、子どもをよく見る
「できたこと探し」で大切なのは、子どもをたくさん褒めて動かすことではありません。結果だけでは見えない努力や工夫、小さな変化に気づき、それを具体的な言葉で返すことです。
- 見えた事実を具体的に伝える
- 結果だけでなく過程を見る
- ほかの子ではなく過去の本人と比べる
- 役に立てたときは「ありがとう」を伝える
- 失敗した日は、まず気持ちを受け止める
毎日完璧にできなくても大丈夫です。今日一つだけ、「ここを見ていたよ」と伝えるところから始めてみましょう。
参考資料
- American Academy of Pediatrics「Building Blocks for Healthy Self Esteem in Kids」
- 文部科学省「第5部 保護者・本人用」
- American Academy of Pediatrics「Age-Appropriate Chores for Children」
子育ての悩み、ひとりで抱え込んでいませんか?
元保育士・るう先生の公式LINEでは、子育て相談やブログ更新のお知らせをお届けしています。
LINEで子育て相談する
