こんにちは。
元保育士で、今は子育てアドバイザーをしている「るう先生」です。
もし、お子さんのことについて、保育園や小学校の先生から「少し気になることがあって…」と声をかけられ、その後に「療育」という言葉が出てきたら…。
胸がドキッとして、頭が真っ白になってしまったかもしれません。
「うちの子に問題があるってこと?」「私の育て方のせい?」
そんなふうに、涙が出そうになったり、怒りや戸惑いがこみ上げてくる方も少なくありません。
その気持ち、痛いほどよくわかります。私自身、保育士時代に保護者の方へお伝えするとき、同じ反応をたくさん見てきました。
でも、どうか安心してください。
先生は決して、あなたやお子さんを否定しているわけではありません。
むしろ「お子さんが未来をもっと生きやすくなるためのサポート」を一緒に考えましょう、という温かい気持ちから出てきた言葉なのです。
目次
療育って、特別なこと?

「療育」と聞くと、まだまだ特別な響きがありますよね。
専門的な言葉や、どこか冷たい響きに、身構えてしまうのは自然なことです。
だからこそ、「うちの子には関係ない」と強く否定したくなる気持ちも、無理はありません。
でも実は、療育は「その子に合わせた習い事」のようなもの。
水泳が苦手だからスイミングに通うように・・・
運動が得意じゃないから体操教室に行くように・・・
それと同じで、療育では「集団生活」「言葉でのやりとり」「見通しを持って動くこと」などを、専門の先生と遊びを通して楽しく練習していきます。
つまり、療育は「できないことを矯正する場所」ではありません。
お子さんが本来持っている「得意を伸ばし、苦手を補う場所」なのです。
療育を勧める本当の理由
私が保育士時代、そして今、小学校のお子さんの保護者と話す中で感じるのは、私たち専門家は、お子さんの「今」だけでなく、「未来」を見つめているということです。
小学校に上がると、子どもたちの世界はぐっと広がります。
その分、「つまずき」がはっきりしてくることもあります。
- お友達と遊ぶとトラブルが増える
- 遊びのルールが理解できず、お友達と喧嘩になってしまう。
- 授業中に集中できない
- 先生の話を聞き続けるのが難しく、授業から遅れてしまう。
- 忘れ物や身支度がなかなかできない
- 朝の準備に時間がかかり、毎朝親子でイライラしてしまう。
こうした小さな「つまずき」は、お子さんの自信を少しずつ奪ってしまいます。
「僕はダメな子だ」「私ってどうしてこうなんだろう」という気持ちが積み重なってしまうのです。
だからこそ、先生は「今のうちに小さなサポートを」と提案しているのです。
これは「ダメ出し」ではなく、「未来のあなたのお子さんが笑顔で過ごせるように」という、切ないほどの願いからの一言なのです。
お子さんが将来、「できた!」という誇らしい気持ちをたくさん感じられるように。
そして、「自分は大切な存在なんだ」と自信を持てるように。
そのための準備を、今から一緒に始めませんか?
不安な気持ちとどう向き合う?

療育を前向きに受け止めるには、親御さん自身の心の整理がとても大切です。
子育てアドバイザーとして、私から3つのアドバイスを贈ります。
① 「私のせいかも…」と責めないこと
発達は親の育て方だけで決まるものではありません。
遺伝や生まれ持った脳の特性など、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。
お子さんが風邪をひいた時に「私のせいだ」と責めないのと同じです。
あなたはこれまで、お子さんを一番に愛し、一番に頑張ってきたはずです。
まずは、その頑張りを自分で認めてあげてください。
② 受け入れるまでに時間がかかってもいい
すぐに納得できなくても、自然なことです。
初めて聞いた言葉に、戸惑って当然です。
「まずは情報収集だけしてみよう」 「今日は、ただ先生の話を聞いてみよう」
小さなステップから始めてみてください。
一気にすべてを理解しようとしなくても大丈夫です。
少しずつ、あなたのペースで進んでいきましょう。
③ 同じ悩みを持つ人とつながる
一人で抱え込むことが、一番の苦しみです。
SNSや地域のサークルなど、同じ悩みを持つ仲間と繋がってみましょう。
仲間がいるだけで、「一人じゃない」という安心感は、あなたの心をグッと軽くしてくれます。
「完璧な親」でなくても大丈夫です。
大切なのは、親子が「幸せに」歩んでいけることです。
実際に療育を受けた子の変化(モデルケース)
療育は、目に見える大きな変化だけでなく、お子さんの内面にじんわりと染み込んでいくような、小さな成長をたくさんもたらします。
療育では、「順番を待つ練習」や「遊びのルールを理解する練習」を、一つひとつ丁寧に教えてもらいました。
小学校に上がると、サッカーのルールを理解できるようになり、お友達と笑顔でボールを追いかけるように。
「今日はサッカー楽しかった!」となど嬉しそうに話してくれることが増えたとのことです。
療育では、「自分で持ち物をチェックする」ための絵や写真を使った準備リストを、先生と一緒に作りました。
今では自分で確認して支度できるように。
忘れ物が減り、先生から褒められる機会が増えました。自信がつき、宿題にも前向きに取り組むようになったとのことです
療育では、感情を表すカードを使って「これは悲しい気持ち」「これは嬉しい気持ち」と、自分の気持ちに名前をつける練習をしました。
自分の気持ちを「今、悲しい気持ちだよ」と短い言葉で伝えられるようになりました。
周りの大人が「どうしたの?」と聞くと、言葉で答えられるようになったことで、親子のコミュニケーションがスムーズになりました。
家庭でできる“ちょっとした工夫”

療育を始める前から、おうちでできるサポートもあります。
- 声かけは短くシンプルに
- 長い指示は混乱の元です。「おもちゃを片付けて、手を洗って、おやつにしよう」ではなく、「まずはおもちゃを片付けようね」と一つずつ伝えましょう。
- 「やることリスト」を絵や写真で見える化
- 朝の身支度や、次の行動がわからない時、お子さんは不安になります。「起きたら、まず顔を洗って、歯磨きをして…」という流れを絵や写真で示すと、見通しが立ち、安心できます。
- 小さな成功をたくさん褒める
- 「忘れ物をしなかったね」「自分で靴を履けたね」など、当たり前と思えることでも、たくさん褒めてあげてください。その「できた!」という小さな成功体験が、お子さんの「もっと頑張ろう!」という意欲につながります。
療育で見つかる、お子さんの隠れた才能
療育の先生は、お子さんの「すごいところ」を見つける天才です。
集団の中では見えにくかった、お子さんだけの素晴らしい個性をきっとたくさん発見してくれます。
- 「〇〇くんは、集中力がずば抜けていますね。好きなことに向き合う力がすごいです」
- 「〇〇ちゃんは、他の子の変化によく気づく優しい心を持っています」
療育は、そんなお子さんの隠れた才能を見つけ、伸ばすための場所でもあります。
Q&A:よくある質問

いいえ。多くの施設は、医師の診断がなくても、相談の上で利用可能です。まずは相談してみましょう。
児童発達支援や放課後等デイサービスは、自治体の補助があるため自己負担はごくわずかです。詳細は、お住まいの自治体の窓口に確認してみましょう。
お子さんの成長や家庭の希望に合わせて、柔軟に相談できます。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
療育を勧められた時、あなたは一人で悩む必要はありません。
これは、お子さんの成長を心から願う先生たちからの、未来への温かい贈り物です。
療育は、決して「ダメ出し」ではありません。 「特別なこと」でもありません。
それは、お子さんの「好き」や「得意」をさらに伸ばし、「苦手」なことを補うための、大切な時間です。
この一歩を踏み出すことで、お子さんの未来が、そして親であるあなたの心が、きっと大きく変わるはずです。
どうか、自分を責めずに。 あなたとお子さんに寄り添ってくれる人たちが、必ずそばにいます。