夏休み、冬休み、春休み…子どもたちにとって、長期休みは待ちに待った楽しい時間。
しかし、保護者の皆さんにとっては「宿題はいつやるの?」「毎日『早くやりなさい!』って言うの、もう疲れた…」という悩みの種でもありますよね。
この記事では、子育てアドバイザーである私が、元保育士としての経験も踏まえ、日中は思いっきり遊び、夜は家族とリビングで学ぶという「メリハリ学習法」を推奨します。
ぜひ試してみてください。
目次
なぜ長期休みの宿題は「計画倒れ」になるのか?
保護者が知っておきたい3つの落とし穴

「長期休みが始まったら、すぐに宿題を終わらせてしまおう!」と意気込んだものの、結局休み明けに大慌て…なんて経験、ありませんか?
なぜ、子どもたちは宿題を後回しにしてしまうのでしょうか。その原因は、子どもたちの心理と長期休み特有の環境にあります。
- 最初のやる気はどこへ?
長期休み開始直後は「よし、頑張るぞ!」と意気込むものの、自由な時間が増えるとつい後回しになってしまうのは、子どもだけでなく大人にもありがちです。
楽しい予定がたくさん入ることで、つい「宿題はいつでもできる」と錯覚してしまうのです。この心理を理解して、いかに早い段階で習慣化させるかが鍵となります。 - 宿題の全体像が見えない
子どもたちは、宿題の「量」や「内容」を正確に把握していません。「
なんだかたくさんあるな…」と感じるだけで、具体的なタスクが見えていないため、どこから手をつけて良いか分からなくなってしまいます。
見通しが立たないと、子どもは不安になり、やる気を失ってしまいます。 - 「いつかやる」の罠
漠然とした「いつかやる」は、結局「やらない」につながってしまいます。
これは、保護者自身の経験にも心当たりがあるのではないでしょうか?
目標を明確にせず、先延ばしにしてしまう心理は、子どもたちにも共通するものです。この罠から抜け出すには、具体的な行動計画が必要です。
これらの落とし穴にハマらないためには、親が「どうすれば子どもが自ら動くか」を考え、環境を整えてあげることが大切です。

子どもが自ら動き出す!
「メリハリ学習法」の3つのステップ

ここからは、日中の遊びと夜のリビング学習を組み合わせた、効果的な「メリハリ学習法」を具体的なステップでご紹介します。
ステップ1
親子で一緒に「見える化」する
まずは、宿題の全体像を把握することから始めましょう。子どもと一緒に、宿題を「見える化」します。
【具体的なやり方】
- 大きな紙に書き出す
模造紙やホワイトボードなど、子どもが見やすい場所に宿題のリストを書き出します。
読書感想文、自由研究などの大きな宿題から、日々のドリルまで、項目ごとに色分けすると、より分かりやすくなります。 - カレンダーを活用する
長期休みのカレンダーを用意し、宿題の項目を「いつやるか」を親子で相談しながら書き込んでいきます。
毎日少しずつ進めることで、休みの最終日に慌てることを防ぎます。 - スモールステップで目標を設定
「ドリルを100ページ進める」ではなく、「今日は計算ドリルを2ページ、漢字を1ページ」のように、子どもが無理なくできる小さな目標を立てましょう。
小さな目標をクリアするたびに、カレンダーにシールを貼ったり、チェックマークをつけたりするアイデアを提示すると、達成感が得られます。
「見える化」することで、子どもは「何が、どのくらいあるのか」を理解でき、「いつまでに、何をすればいいのか」という見通しを持つことができます。
ステップ2
日中は思いっきり遊び、夜は「家族の勉強時間」にする
この学習法の最大のポイントは、日中は宿題のことは忘れて、思いっきり遊ぶことです。遊びを通して体力や好奇心、コミュニケーション能力を育む時間は、子どもの成長に不可欠です。遊びと勉強の間に明確な区切りをつけることで、子どもの集中力も高まります。
そして、夜になったら、家族みんなで「勉強時間」を設けます。
【具体的なやり方】
- 場所と時間を決める
夜ご飯の後、8時から9時までなど、勉強する時間帯を決めます。場所は、リビングのダイニングテーブルなど、家族の気配を感じられる場所にしましょう。リビング学習は、お子さんが一人で部屋にこもるよりも、安心感があり、勉強への抵抗感が少なくなります。 - 「家族の勉強時間」にする
子どもが宿題をしている間、保護者の方も読書をしたり、資格の勉強をしたり、家計簿をつけたりと、一緒に「学ぶ時間」を作ります。
これにより、子どもは「自分だけが勉強している」という孤独感を感じることなく、自然と集中できるようになります。 - 誘惑を排除する
勉強時間中は、テレビを消し、スマートフォンやゲーム機を手の届かない場所に置いておきましょう。
また、リビングの中でも、集中しやすい壁側の席など、場所を特定しておくことも効果的です。
リビング学習のメリットは、子どもの「分からない」にすぐに気づいてあげられることです。
ただし、口出ししすぎず、「どうしてそう考えたのかな?」と問いかけるサポーター役に徹することが大切です。
ステップ3
モチベーションを維持する3つの魔法
子どもが宿題を楽しく続けるためには、モチベーションを維持する工夫が必要です。
- 【魔法1】褒めて、認める
結果だけでなく、宿題に向かう姿勢や努力の過程を褒めることの大切さを強調します。
「がんばって取り組んでいるね」「難しい問題なのに、最後まで諦めなかったね」といった具体的な声かけをすることで、子どもの自己肯定感を高めることができます。 - 【魔法2】適度な休憩を挟む
人間の集中力には限界があります。
「25分勉強したら5分休憩する」など、子ども向けの「ポモドーロ・テクニック」を取り入れてみましょう。
休憩中はゲームやテレビではなく、ストレッチや外の空気を吸うなど、気分転換になる活動を勧めるのがポイントです。これにより、次の集中力も高まります。 - 【魔法3】「ご褒美」は親子の愛情燃料
ご褒美は、物やお金ではなく「親子の時間」や「特別な体験」をご褒美にしましょう。
例えば、「週末は一緒に映画を見よう」「宿題が終わったら、公園で思いっきり遊ぼう」など、親子で楽しめる体験をプレゼントすると、子どものやる気も高まります。
ポモドーロ・テクニックとは?
ポモドーロ・テクニックとは、「集中する時間」と「休憩する時間」を細かく区切ることで、集中力を保ちながら作業を進める時間管理術です。
難しい言葉で言うと身構えてしまいますが、やり方はとてもシンプル。
- 25分間、タイマーをセットして1つのことに集中する
- タイマーが鳴ったら、5分間だけ休憩する
- これを繰り返すだけです。
このサイクルを繰り返すことで、無理なく集中力を維持できます。
この方法の名前は、考案者(フランチェスコ・シリロ)が使っていたトマトの形をしたキッチンタイマーに由来しています。
集中力が続かないときや、やるべきことが多くて何から手をつけて良いか分からないときに、ぜひ試してみてください。
保護者の「イライラ」を軽減するための心得

最後に、保護者の皆さんが穏やかな気持ちで長期休みを過ごすための心得をお伝えします。
心得1:完璧主義は一旦お休み
「すべての宿題を完璧に終わらせなければならない」というプレッシャーは、子どもだけでなく保護者をも苦しめます。
まずは「提出物だけでも終わらせる」など、ハードルを下げてみましょう。
完璧でなくても大丈夫。子どもが自ら考え、行動できたことを評価してあげてください。
心得2:「手伝う」のではなく「見守る」
子どもが困っているとき、つい手を貸したくなりますが、すぐに答えを教えるのはNGです。
子どもが自分で考える時間を奪わないように、「ヒントをあげる」「一緒に調べる」というスタンスで、そっと見守りましょう。
子どもは自分で解決できた経験から、大きな自信を得ることができます。
心得3:保護者自身の時間も大切に
子どもに付きっきりになる必要はありません。
子どもが勉強している間に、保護者の方も自分の好きなことをする時間を作ってください。
心に余裕が生まれると、子どもにも優しく接することができます。
Q&Aコーナー
子育てアドバイザーが答える、長期休みの宿題のお悩み
長期休みの宿題について、保護者の皆さんからよくいただく質問にお答えします。
質問①
「そうだよね、遊びたいよね」と共感し、その上で「でも、一緒に計画を立てたから、少しだけやってみようか」と優しく誘ってみてください。
また、時間を短く区切って「5分だけやってみよう」と提案するのも効果的です。
質問②
まずはテーマを決める、次に図書館で調べる、次に材料を買いに行くなど、具体的なタスクに細分化して、一つずつクリアしていくようにしましょう。
質問③
「教え方」に悩むママ、パパへ。
親の負担を軽くする「外部サービス」を頼るという選択
まとめ
長期休みは「親子で成長するチャンス」
日中の遊びと夜のリビング学習を組み合わせた「メリハリ学習法」は、子どもの自立心や自己肯定感を育むだけでなく、家族のコミュニケーションを深める良い機会にもなります。
- 計画を立てる(見える化、スモールステップ)
- モチベーションを維持する(褒める、休憩、ご褒美)
- 保護者は「見守る」姿勢で(完璧主義にならない)
これらのポイントを押さえることで、長期休みの宿題を効率的に終わらせ、親子ともに楽しい時間を過ごせるようになります。
「勉強しなさい!」と怒鳴るのではなく、「一緒に頑張ろう!」と応援するスタンスで長期休みを乗り切りましょう。
この記事が、長期休みの宿題に悩む多くのご家庭の助けになれば幸いです。
今年の長期休みは、子どもたちにとって、そして保護者の皆さんにとっても、最高の思い出になりますように。
